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2012年5月の代表メッセージ

■□ 「なぜ日本の教育は間違うのか」(扶桑社刊)に思う □■
 風薫る5月ですね。子供たちも新しいクラス、新しい学校になれてくる時期になります。
 慣れてくるということは人間関係もお互いの距離が定着しつつあるということです。
 いじめもこれから増えてくる時期を迎えようとしているわけです。
 保護者の皆様は、お子さんの言動に気を配っていただいて、いじめが起きても芽のうちにつむという心構えで臨んでいただきたいと思っています。
 何か気になることがありましたら、私たちのところにご相談のお電話、メールをいただければと存じます。

 さて、3月のことですが、当NPOにさまざまにアドバイスをいただいていらっしゃいます教育評論家の森口朗(もりぐちあきら)先生の新刊
 「なぜ日本の教育は間違うのか ~復興のための教育学~」(扶桑社刊)が発売されました。

 読ませていただいたのですが、ここまで明確かつ簡素に教育問題を取り上げた本はなかったのではないかとさえ感じました。
 一般的に、学者、教育評論家と言われる方々の書かれた書籍というのは、わざわざ難しく書かれていて理解するのにとても時間がかかるものですが、この本は難しいことを私たちで理解できるように具体的事例を用いながら書いているのです。

 本書で森口先生は、「いまどきの若者」をつくりだしたのは、単に「ゆとり教育」だけではないと喝破されています。
 4つの要因として、1ゆとり教育による知識量の低下。2新学力観による思考スタイルの変化。
 3少子化による競争圧力の低下。4学校教育サービス論による耐性の低下の複合であると述べ、さらに問題は「ゆとり教育」よりも新学力観であるとしています。

 私たちも実際のいじめ解決に取り組みながら、「子供たちを指導してはいけない。支援しなさい」という新学力観的考え方こそが、子供たちを善悪について鈍感にさせていると感じています。
 「悪いことは悪い」という当たり前の教育が必要ではないでしょうか。

 また、第三章に「フィンランド信仰の虚実」という章がありますが、必読でしょう。
 よく耳にするフィンランド教育ですが、なぜそうなるのかを明確にした意味は大きいと思います。
 本章の最後で
 「人権という概念が根本的に間違っているからです。
 私は、これこそが日本の教育が抱える最大の問題だと思っています。」と述べておられますが、この点こそ私たち大人が変えなければいけない考え方であろうと思うのです。
 いじめの現場でも「加害者にも人権がありますから」という理由で「叱る」ことを躊躇する教師が少なくありません。
 しかし、「人権」だからと言って犯罪は許されるものではありません。
 本来の意味を取り違えた議論が横行しているのがいじめの現場です。

 以上、簡単なご紹介ですが、本書は現在の教育界における問題点とその原因を具体的事例と共に丁寧に言及された意欲作ではないかと思います。

 私たちは、日本の教育の問題点をしっかりと把握しながら、現実のいじめ問題と向き合ってまいりたいと思います。
 ひとつひとつのいじめを解決すると共に、教育界に対して保護者の立場から「おかしいものはおかしい。こういう教育が大事だ」という声を届けてまいりたいと思います。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明