2012年8月の代表メッセージ

■□ 子供に元気を □■
 8月に入りました。東京は、酷暑といっても良いくらいの日が続いています。
 大津のいじめ自殺事件が報道されて以後、かなり増えていたいじめ相談は、夏休みに入ったとたんに目に見えて減ってまいりました。
 本当にいじめは学校で起きているという何よりの証でしょうか。

 いじめられていた子はこの夏休みの間に、鋭気を養って新学期には力強く登校して欲しいと思っています。
 ご家族で出かける機会も増えると存じますが、親御さんにはお子さんの成長をサポートすると同時に、よくよく話を聞いてあげていただきたいと思います。
 相談をしやすい面を子供たちに見せていただけたらと考えています。
 事件のこともありいじめについて聞きやすい状況になっていると思いますので、いじめについてどのように考えているのかを問うことをお勧めいたします。
 もし、いじめの疑いがあるようでしたら、早めにご相談ください。

 さて、7月25日配信の産経新聞に、作家の井上靖氏の長男の井上修一さんの記事が掲載されておりました。
 修一氏は、ドイツ文学の研究者で、筑波大学名誉教授とのことです。

 井上靖氏は、『敦煌』や『天平の甍』などで著名な作家ですね。
 個人的には、『あすなろ物語』、『しろばんば』などを小学生の時に読みました。
 というよりも学校から読まされたという気もします。
 時代感覚が違いすぎるかもしれませんが、今の小学生は読むのでしょうか?

 記事の中で、息子の修一さんが父、井上靖氏の言葉を紹介しています。引用いたします。

 【自宅で開いた正月での宴のときのことだ。最後の客を玄関で見送った後、笑い始めた4人の子供たちをひどく叱った。
 「敷地を出るまで決して笑うな。客は自分のことを笑われたと思うから。
 ひょっとしたら、井上の家を恨むこともあるかもしれない。笑われる立場にない人は、自分が笑われたと思わない。
 しかし、世の中にはそうではない人もおり、邪気のない笑いが人を傷つけることがある」】

 いじめ問題にも通じる言葉ですね。
 いじめがここまではびこるようになってしまった原因は、明確に善悪を判断できる大人、特に教師がいなくなってしまったところにあると思います。
 さらに、相手を思いやる心が欠乏していることにつきるのではないでしょうか。
 人は思わず知らず自己を正当化してしまいます。それだけにとどまらず逆に攻撃さえしかける加害者さえ存在します。
 相手を思いやるということは、自分がその立場にたったらどう感じるかということです。
 論語の言葉「己所不欲、勿施於人(己の欲せざるところ、他に施すことなかれ)」は現代においても通じます。
 夏休みのこの時期、お子さんとこの言葉について、話し合ってみるのもよいかと思います。

 もうひとつ、先ほどに記事にこんな言葉もありました。
 【目端(めはし)の利く(機転が利く)秀才は、その仕事が今の社会に向かないと分かると、すぐ方向転換する。
 一定の地位と収入が得られると満足し、逆に得られないと諦める。
 しかし、その仕事が好きなら、どんなに時代に恵まれなくても、どんなに忙しくても、一生やり続けることができる。
 好きなことを続けることが幸せだ」】

 今、数多くの子供がいじめられています。
 周りにそんな子がいましたら伝えてください。「あきらめるな。努力は必ず報われる」と。

 さあ、夏休み。子供たち、みんながエネルギーを充電し、心の元気を満タンにしてほしいですね。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明