2012年10月の代表メッセージ

■□ 可児市いじめ防止条例施行 □■
 台風の影響でしょうか、涼しくなってまいりました。
 大津のいじめ自殺報道によってわき起こる「いじめ防止」の流れは、私たちが当初より訴えていたことも具体的な形となって現れてきています。

 10月2日、岐阜県の可児市で「子どものいじめの防止に関する条例」が全会一致で成立し、本日3日に施行されました。
 兵庫県小野市につづいて2件目のいじめ防止条例の成立です。
 特に、子どもに特化した条例としては初めての条例となりました。

 前文には、
 「子どもの心や体に深刻な被害をもたらすいじめは、子どもの権利を侵害するものです。(略)
 いじめの防止についての基本理念を明らかにしてその方向性を示し、いじめの防止のための施策を総合的に推進していくため、この条例を制定します。」
 とあります。
 「いじめの防止のための施策を総合的に推進」とありますが、それを具体的には、市、学校、保護者、市民等の責務として規定しています。

 市の責務として、「子どものいじめの防止及び解決を図るために必要な施策を講じなければなりません。」
 学校の責務は、「子どものいじめの防止に取り組むとともに、いじめを把握した場合は、その解決に向け速やかに対策を講じなければなりません。」
 保護者の責務は、「いじめを正しく認識するとともに、子どもに対し、いじめは許されない行為であることを説明し、これを充分に理解させるよう努めなければなりません。」
 市民及び事業者の責務は、「地域において子どもに対する見守り、声かけ等を行い、子どもが安心して過ごすことができる環境をつくるよう努めなければなりません。」としています。
 さらに、市民及び事業者は、いじめ情報を提供することを規定し、学校は、子どもに対して、人権に関する教育を行うことを定めています。
 あと、特徴的なこととしては、専門委員会の常設を盛り込んでいます。

 いじめ防止条例を速やかに可決したことは、大変に素晴らしい事だと思います。
 ただ、惜しむらくは、施策に「ぬるさ」を感じます。

 「いじめは許されない」と教育することを「親の責務」と規定し、「学校」の責務から意識的に外したように読めます。
 また、対策や予防策の具体的なところには踏み込んでおりませんので、「学校としては今のままで良いですよ」と言っているようにも聞こえます。
 何より、この条例には強制力がありません。残念です。

 もう一段、学校の責任や教師の責任に踏み込み、いじめの隠蔽防止、いじめを見て見ぬふりする教師に対しての強い姿勢を盛り込んだ「いじめ防止条例」の制定が望まれます。
 「いじめから子供を守ろうネットワーク」もいじめ防止について、さらに訴えてまいりたいと存じます。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明