2013年5月の代表メッセージ

■□ スクールカースト? □■
 子供たちにとっての新しい学級や新しい学校生活も一ヶ月が過ぎてやや落ち着いてきた頃でしょう。
 クラスにも、授業にも慣れて、これから本格的な授業が始まっていく5月です。
 子供たち同士の人間関係も確立してきます。
 この人間関係が固まるにつれて「いじめ」も増えてきはじめます。
 いじめの面でも、勉強の面でも親としては気の抜けない時期とも言えます。

 近頃、この子供たちの人間関係を「スクールカースト」という言葉で表現する記事が目につくようになりました。
 私たちもアドバイスをいただいている森口朗先生の「いじめの構造」という書籍で、世の中に広まった言葉です。

 スクールカーストとは、クラス内における上下関係のことを指しています。
 クラスの人気や発言力によって階級差ができるという考え方です。
 いじめで言えば、いじめる側が上位カーストで、いじめられる側が下位カーストと言われています。
 親の世代にもありましたし、祖父母の世代にも子供たちの中での階層というものはありました。
 ただ、スクールカーストと名付けることで、子供たちの現状を分かりやすく表現しようとした言葉なのだと思います。

 スクールカーストを解消すべきだという議論もあります。
 しかし、人間には好き嫌いがありますし、活発な子とおとなしい子、勉強が得意、音楽が得意、本が好き、運動が得意などなど様々な子供たちがいます。
 スクールカーストを無くそうとすると、子供たちをすべて同じに矯正するしかないように思います。
 それは、無個性な子供たちを創ることにつながりますし、現実的には不可能だと言えるでしょう。

 いじめのないクラスを創るには、一人ひとりに「いじめは悪だ」と自覚させ、キレたり、ストレスをいじめで発散するなどの感情に流されたりしない子を育てる、「自己を律する心」を育てていくことが大切だと思います。
 一世代前にはクラスのリーダーは、いじめを止める側でした。
 ところが現代の学校では、学級委員や生徒会長がいじめの中心人物だという事例も少なくありません。

 人気や実力がある子、つまりスクールカースト(あまり使いたくない言葉ですね)の上位に位置する子を周囲の子をいたわり、励まし、リードしていく関係を築ける子に育てていくことが大事です。
 本当の「いい子」、「つよい子」は、いじめなんかしないという「悪をくじき弱きを助ける」という、西洋でいうところの騎士道精神や大和魂というものを子供たちの世代に伝えていきたいものです。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明