2014年2月の代表メッセージ

□■ 国境を越えて、いじめをなくそう ■□
 2月に入って、春の気配が感じられるようになりました。
 日本全国、入学試験のまっただ中です。
 受験生の皆さんの合格を心よりお祈りしております。

 さて、いじめ問題としてみると今年は、大変に重い滑り出しとなっています。
 というのも、新聞報道によれば、三学期が始まった1月7日以降、4人もの子が自殺をし、いじめとの関連が取りざたされているからです。
 昨年の9月の二学期の始業式前後には、子供たちの自殺報道がほとんど見あたらず、「いじめ防止法」制定の効果が出ているように見えていましたので、それだけに残念です。
 今年のような三学期の始めにあたっての自殺事件は、例年には見られない現象です。

 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざ通り、あっという間に「いじめに対処しなければならない」という意識が教育界から葬りさられてしまったように感じます。
 子供たちを守るためには、日本の教育姿勢そのものを変えなくてはなりません。
 あらためて、「そんなことであってはいけないんだ」、「いじめ問題はなくなっていない」ということを訴え続けていく必要性を痛感しています。

 やや、話は変わりますが、先日、アメリカ大使館と日本教育大学院大学共催の “国境を越えて考える「いじめをなくそう!」” というセミナーを聴講してまいりました。
 基調講演は、ジョエル・ヘイバー博士 (RespectU創設者、臨床心理士)でした。
 いじめはアメリカでも深刻な問題になっており、オバマ政権もいじめ問題に取り組んでるのが現状のようです。
 さらにアメリカでも、日本と同じく、いじめを見ている子が7割もいて、「いじめを止めるのは怖い」と言っているとのことで、日本の子供たちと何ら変わらない姿が紹介されました。
 日本と同様に傍観者を変えることが、アメリカのいじめ対策の中心のようですが、なかなか簡単にはいかない状況が伝わってまいりました。

 博士は子供たちに、「信頼できる大人に報告しなさい」と教えていると話していました。
 講演を聴く限り、アメリカの子も日本の子もいじめに対する反応は同じです。
 とすれば、やはり、大人、特に教師の姿勢が問われるのではないかという疑問が起きてきます。

 そこで、質問してみました。
 「日本では、教師が放置したということで重大な問題になることが多いのですが、アメリカではいかがでしょうか」
 博士の答えは、「アメリカと日本では事情が違うのはわかります。
 アメリカでは、いじめの訴えがあったときに、教師は必ず対応しなければならないことになっています。
 自分が対応できない場合は、必ず、代理の教師を立てなくてはなりません。
 そういう決まりなので、対応しないということはありません」とのこと。

 日本も、いじめ対策においては、アメリカのような責任と義務を教師に科するべきです。
 ある教育委員会の先生も、
 「教育委員会に寄せられるいじめ相談は、100%と言っていいくらいに教師が何もしてくれなかったというものですよ」
 と述べておられました。

 新学期になったとたんに自殺する子がいるなどという、この教育は絶対におかしい。
 このような情けない状態を解消する鍵は、大人たちの姿勢にあります。
 その方向性を示す上でも、「いじめ防止法」の中に、隠蔽したり、放置した教師に対する罰則を設けることが必須です。
 子供たちを守るために、皆様と共に声を上げ、訴えて続けてまいりたいと思います。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明