2014年11月の代表メッセージ

□■ 35人学級? ■□
 11月に入りました。これから本格的に寒くなっていくのでしょう。
 受験勉強も大詰めと言っても良い季節ですね。

 最近、教育に関する2本の記事が目にとまりました。
 一つは、財務省が、10月27日に開かれた財政制度等審議会の分科会において、公立小学校の1年生に導入されている35人学級を見直し、40人学級に戻すべきだとする案を提示したというもの。
 財務省は、「35人学級」が、いじめや暴力の抑制につながったとは認められないという理由を述べています。
 さらに、教職員数、約4000人、予算が約90億円近く削減できると試算しています。
 一方、文科省は「学力低下などにつながりかねない」と反発しているということで話題になっています。
 現在は、公立小1年生のみが、1クラスの上限を35人と定められています。

 もう一つは、10月29日付けで文科省が、中学校教員が小学校で学級を担任することを可能にする方針を固めたという記事です。
 現在でも、中学校の教員だった先生が、小学校で教えている例はありますが、小中一貫校の制度化や、20年度に予定の小学校英語の正式教科化に向けて、中学の先生でも小学校の学級担任を可能にする対応だと言われています。

 これらの記事から、35人学級の議論は、担任の目が届かなくなって来ていると言いたいのでしょうし、
 さらに、小学校の教師が全科目1人で教えることが困難になってきていると訴えたいのでしょう。
 結局、「教師は大変なんだ」という現場の声が高まってきているということなのだと思います。

 1980年から始まった40人学級ですが、それ以前の45人学級時代と比べて、より子供たちが向上したといえるのでしょうか。
 いじめや不登校だけ見れば、80年から急激に悪化していったことは数値で明確に報告されています。
 特に不登校、登校拒否は、文科省の資料によれば、80年以前は1万人程度だったのですが、82年に2万人を超え、84年に3万人、88年に4万人ついには、92年に7万人、そして現在の12万人へと推移しています。
 このように35人学級にしても、学校が良くなるとは予測できません。
 クラスの人数の問題ではないのだと思います。
 文科省の施策の失敗こそが、現場の教育者の熱意を摘んでしまったと言えるのではないでしょうか。

 学校でいじめがはやっているのは現場の教師の気概の問題です。
 使命感、責任感をも含んだ「教育への情熱」を失わせてしまう体質が問題だと思うのです。
 若い先生方と話してみると、教育への「希望と熱意」が熱く伝わってきます。
 この先生方を指導できるような立派なベテランの先輩教師もたくさんいます。
 「教師の誇り」、聖職者としの気概を高めることを考えなくてはなりません。
 数合わせの施策では教育が変わることは望めません。
 あるPTAの役員をしているお母さんが、
 「うちの子もそうですけど、学校のことを尋ねても反応がないんですよ。
 私たちの頃は学校は楽しいものでしたけど」と話していました。

 教育行政に携わる方々にお願いしたいのです。
 子供たちにとって、「学校が楽しい」「勉強が面白い」と言ってもらえる先生を育てていっていただきたいのです。
 教育改革の原点は、ここにあるのではないでしょうか。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明