2014年12月の代表メッセージ

■□相談、続々の12月□■
 12月に入り、クリスマスの声が聞こえてきました。
 イルミネーションが街を飾り、年末の雰囲気がただよい始めています。

 先般、11月26日(水)に開かれた平成26年度広島市社会福祉大会において、「いじめから子供を守ろう!ネットワーク 広島」が、広島市社会福祉協議会より会長表彰をいただきましたので、ここにご報告をさせていただきます。
 本表彰は、足かけ8年に渡って、広島市内で広島代表の山本さんをはじめとするサポーターの皆様が、いじめ防止セミナーの開催による啓蒙活動や、いじめ相談を実施してきたことが評価されたものです。
 これもひとえに全国の皆さまのご支援、ご指導のたまものと深く感謝申し上げます。

 また、11月29日(土)に大阪府岸和田市においてシンポジウムを、翌日の30日には、東京都東久留米市にてセミナーを開催させていただきましたことも併せてご報告申し上げます。

 2学期も終わりに近づく中、12月に入っていじめ相談が増えてきています。
 いじめ防止対策推進法に基づいて、ほぼ全国の学校で「いじめ防止基本方針」が制定されている状況ですが、残念ながら、対応下手な学校が目立ちます。

 例えば、こんな言葉を投げかける教師がいます。
 「お子さんがいじめられるのは、育て方に問題があるからです」、
 「私たちが聞き取りをした結果、いじめではありませんでした」、
 「子供たちの関係が壊れるので、叱ることはできません」など。
 あるいは、加害者の親が学校に怒鳴り込んだことで、被害者に「そのお子さんはその場にいませんでしたので加害者ではありません」と加害者をかばったという情けない教師もいます。

 結局、いじめを解決できない教師とは、自分の立場を正当化するためには、「子供を犠牲にしてもかまわない」という自己保身教師です。

 いじめを解決できない教師は、日本だけでなくアメリカにもいるようです。
 ここに、「ある日、私は友達をクビになった」(エミリー・バゼロン著 早川書房)という本があります。
 本書にはアメリカにおけるいじめの実態が描写されています。
 「少々ひどい目に遭っても、それによって子どもは逞しく成長する」という考え方が紹介されていたり、
 「スクールバスの中のことまでコントロールできません」、
 「できることには限界があります」と話した校長先生が出てきたりします。
 ある州の調査結果では、年間に24%もの子がいじめにあっていたという調査結果についても言及しておりますので、日本よりもいじめが多い状況もうかがえます。
 さらには、「和解調停(話し合いのこと)を無理に勧めれば、さらにひどいいじめをもたらす」と指摘するなど、私たちが主張しているように、アメリカでも「話し合いは危険な対応方法」であることが知られています。

 日本で制定された「いじめ防止対策推進法」は、とても重要な施策です。
 さらに、この法律に欠けている「いじめを放置する教師への処罰」を明文化することは、更に重要なことです。

 しかし、もっと重要なことは、教師、そして私たち保護者、大人たちが心から「子供たちを守りたい」と思うことです。
 本書の前書きの中で、著者はある1人の校長の、
 「私たちはこの子どもたちを育てているのです。
 子どもたちは学校で、安全に幸せに学ぶことができなければなりません。
 私が一番気にかけているのは子どもたちが幸せであることです」
 という言葉を紹介しています。

 子供の立場に立って考え、子供の話を聞ける先生を増やすことが、いじめ問題を解決する鍵になるのではないでしょうか。
 皆様と共に「学校が楽しい」と話す子供たちを育ててまいりたいと思います。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明