2016年1月の代表メッセージ

■□ 新年にあたって □■

新年、明けましておめでとうございます。
全国的にも穏やかな年明けとなったように思います。
私たち、いじめから子供を守ろうネットワークも2月には、設立9周年を迎えることとなります。
サポーターの皆様をはじめとして多くの方に支えられて本年を迎えることができましたことを心から感謝申し上げます。

年末にあるお母さんからお電話をいただきました。
「娘がいじめられて十年以上が経ちました。私は今後も娘を看病しながら生きていく覚悟をしています。
今、思い起こしてもあの時すぐに対処できなかったことが悔やまれてしかたありません。
裁判を起こしたいとも思うのですが、いかにせん証拠がありませんし、当時の子供たちとも連絡がつきません」

電話越しに「悔しい、理不尽だ」というお気持ちと「あきらめ」の気持ちが伝わってまいりました。
そのお電話の中で、「認識行動療法というのをご存知ですか。娘はこの治療を受けてかなり良くなりました。
いじめを受けると自分自身の存在さえ否定してしまうのですね。
私も娘のような子の役に立ちたくて勉強しています」とも話されておりました。

認識行動療法の主眼は自己肯定感の回復にあるようです。
ケースによって違いはあると思いますが、具体的には「自分をほめてみる」「自信を回復するような言葉をかける」などによって、生きていく自信を取り戻すように導くことだと理解しています。

私たちが出会った子供たち、長期の不登校になっていたり、リストカットをするようになってしまった子たちが復帰する鍵は「自信」にあると感じています。
「愛されている自信」「生きていても良い自信」を回復することです。
実際に、こうしたら子供が回復したという声がよせられています。
「毎日少しずつ机に向かう時間をとったところ学校に行けるようになった。」
「お母さんが学校に掛けあってくれている姿を見て学校にいけるようになった。」
「いじめていた子たちが謝罪してくれたことで学校に行けるようになった。」
「志望校に合格することで自信が回復できた。」
などなど。

いじめによる精神的ショックは計り知れないものがあります。
そのショックからいかに早く立ち直るかどうかは、本人が「どのように考えるか」にかかっています。
本人の自信を回復するためのきっかけをつくることを保護者や私たち周囲の大人が考えてあげる必要があると思います。

今年も早々からいじめ相談の電話が入ってきています。
この子たちを守るためにも大阪市のいじめ基本方針に盛り込まれた「教師への懲戒」の精神が必要です。
皆様のご協力の下で全国に広げてまいりたいと存じます。
今年も皆様のご指導、ならびにご支援、ご協力を賜りたくお願い申し上げます。

【認知行動療法】
認知、つまり、ものの受け止め方や考え方に働きかけて、気持ちを楽にする、精神療法、心理療法の一種です。
国立研究開発法人認知行動療法センター http://www.ncnp.go.jp/cbt/index.html より

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明