2016年6月の代表メッセージ

■□ 生徒自身によるいじめ対処の実践 □■

梅雨の季節が間近に迫る6月。子供の体調管理が気にかかりますね。
さて、残念ですが、ゴールデンウィークが明けてから、東京の品川区、大田区、秋田市と中学生の自殺が相次ぎました。
現段階では、いじめとの関係はわかりませんが、学校が関係しているというのは間違いないことでしょう。
学校に行くことで、いわれのないストレスにさらされるようなことがあってはなりません。

子供たちを守るのは大人の責任です。
「現代のいじめは、大人が関わらないと解決しない。
昔と違って、今の子たちは自分たちでいじめを解決できない。」
と、保護者や大人が介入することの必要性を、私たちは全国で訴えています。
残念な気もしますが、これが現実です。

先日、うれしい話を聞きました。その話をしてくれたのは25歳の青年です。
その青年の中学では、教師の力も親の力も借りずに、生徒たち自身によって「いじめを許さない学校」を実現していたというのです。

青年が大阪生まれと聞いたので「大阪もいじめはひどいでしょう」と問うてみたことがきっかけでした。
「そうなんです。周りの中学のほとんどは、学級崩壊やいじめで授業が成り立ってなかったですね。
それで僕たちには、『自衛しなくちゃいけない』という自覚が生まれました」
「教師はみんな見て見ぬ振りだし、子供のことを真剣に考えてくれる先生も学校にはいなかったですね。
周りの学校みたいなところには行きたくないし。
で、生徒で話し合って、あんな中学にしちゃいけないということで一致しまして。
お互いに、いじめにならないうちに止めに入ろうということにしたんです。
『あんなふうになったら勉強なんかできないぞ』って、声を掛けあっていじめの芽をつぶしていったんです。
良い中学時代でしたね」

この言葉には達成感がありました。そして誇りと自信がかすかに伝わってまいりました。
きっと、この彼自身がリーダーとして頑張ったのでしょう。
中学の時の成功体験が現在の仕事や生活の基盤を作ったように見えます。

ここに、理想の生徒像のヒントがあるように思います。
一人一人が、自制心を持ち、ルールを守り、お互いを尊敬し、かつ尊重できる子供たち。
そして何より、悪いものは悪いと言い切れる子供たち。

素晴らしい子供たちの姿が浮かんでまいります。でも、これはまれな事例です。
子供たちに「そんな子になりなさい」と言って放っぽりだしては、大人としては無責任です。
私たち自身が、子供たちの手本となる生き方、考え方を示さなくてはなりません。
こんな子供たちを私たちは育てたいと思っています。

私たちだけではありません。先生たちの多くも同じように考えています。
私たちを応援してくださっている先生たちと話してみると
「子供たちの役に立ちたい」、「社会で活躍する子を育てたい」
という強い志、願いを持っています。
特に若い先生はストレートに、その情熱をぶつけて来られます。
子供たちと接するなかで、理想と現実が一致しないことにしばしば出会うこともあると思います。
しかし、理想を忘れてしまったら未来は無意味になるように思います。

私たちは、今、苦しんでいる子と共にいじめに立ち向かっています。
6月はいじめが発生しやすい時期です。
ほんの少しでも不安に思ったら、ご遠慮無くご連絡ください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明