2016年11月の代表メッセージ

■□ いじめの実態といじめ認知件数 □■

11月に入っていきなり、冬に突入しそうな雰囲気です。
街を歩く人たちを見ると、コートを着ている人がかなり増えてきました。

さて、先週、いじめ認知件数が発表されました。
文科省から10月27日に、「平成27年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果(速報値)」が公表されました。
今年の3月末までの「いじめ認知件数」は、過去最多の22万4540件となりました。
26年度より3万6468件の増加ということです。
しかし、この数字を額面通りに受け取るわけにはいきません。

件数が多かった自治体は、
千葉県 2万9,665件、
京都府 2万5,279件、
宮城県 1万7,708件、
となっています。

これを1000人当たりのいじめの件数で見ると
少ないところでは、
佐賀県 3.5人、
香川県 4.5人、
広島県 5.1人、
福岡県 5.1人、
とい数字が出ています。

反対に多い自治体は
京都府 90.6人、
宮城県 70.8人、
山形県 48.4人、
宮崎県 47.2人、
千葉県 45.6人、
となります。

毎年ながら、「いじめ認知件数が違いすぎる」と感じます。
学校基本調査によれば、全国の小中高生は、約1394万人です。
京都府の割合でいじめが起きているとすると、126万人の子が昨年度いじめを受けたということです。
千葉県の割合だとすると、63万人ということになります。

佐賀県の割合でみますと、各学校で1人しかいじめられないということです。
しかし、この数字は信じられません。

今年の6月に、文科省の国立教育政策研究所が発刊した冊子『生徒指導支援資料6「いじめに取り組む」』によれば、中学生の約9割もの子が「いじめられた経験がある」という調査結果が出ています。
この結果は、6年もの時間をかけた追跡調査の結果であり、信頼できる数字です。
したがって、「ワースト」と呼ばれている京都府こそが真実の数字を発表したと見るべきであり、ワーストではなく、「よく調べている自治体」として認めるべき内容です。

信頼できない数字では意味がありません。
文科省としては、いじめ認知件数の報告を求めるに当たって、より精度をあげる方法を考える必要があります。
国として、いじめ認知件数を公表しているわけですから、その数値が信頼できる数値でなければなりません。
一般の会社では、製品の質を担保するためには、サンプリング検査や、抜き打ち検査を実施しています。
文科省にできないわけはありません。

このような状況の中で、やはり私たち保護者は、京都府の公表している1000人当たりのいじめ認知件数90.6人をベースにしていじめ問題を捉え、
1年で、「10人に1人」、「クラスでは3人」の子がいじめられていると認識しておかなければなりません。

このような状況では、子供たちは「次は自分がいじめられるかもしれない」という不安と毎日戦っているはずです。
子供たちの不安を解消するためにも、大人が、「いじめのないクラス」をつくってあげる必要があります。
先生方に任せっぱなしにしてもいい場合もありますが、親としては不安です。

したがって、自分の子が通っている学校の状況にアンテナを張っておくことが大切です。
当然ですが、学校の状況を一番詳しく知っているのは、「自分の子」です。
情報収集の第一は、お子さんと話しながら、学校での仲の良い友だちや、問題をよく起こす子、信頼できる先生はどの先生かということを把握しておきたいと思います。

さらには、学校を「自分の目」で見ることが、とても有効です。
落ち着いたクラスなのか、先生の授業はわかりやすいのか、休み時間の過ごし方、給食や掃除の時間。
さらには下駄箱の様子など、1、2時間見学するだけでも随分わかるものです。
先生に許可をいただかなくてはならないという学校もあるでしょうが、ぜひ、時間をつくって学校を見に行ってください。

私たちのところには、毎日、いじめ相談が届いております。
いじめを解決するには早期発見・早期解決が基本です。
不安に思ったり、気になることが有りましたら、ご遠慮無くご相談ください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明