2012年11月の代表メッセージ

■□ 「本気の先生」を応援したい □■
 11月のメッセージです。年賀状もすでに発売されています。学校では、文化祭が催されるところも多いことでしょう。
 受験生は、そろそろエンジンを掛けなくてはいけない季節ですね。志望校も絞りきらないと行けない時期になります。

 大津のいじめ自殺事件以降、各地の小学校、中学校では、いじめについて考えるための授業や講演会が催されています。
 いじめから子供を守ろうネットワークにも講演依頼が相次いでおります。

 先日お伺いした市立中学校でも、一時間程度ですが、校長先生、教頭先生と話す時間がありました。
 この中学校の子供たちからは、素朴でとても明るい雰囲気が伝わってきました。
 現在、この中学はいじめでの大きな問題は起きていないとのことですが、4年前までは市内でも一、二を争う問題校だったとのことでした。
 不良中学生、今の言葉ではヤンキーがいて、授業中の立ち歩きなどで、学校全体が荒れていたのです。
 今、そのような跡はまったく感じられません。短期間で立て直すことができたのですね。

 校長先生のお話を伺っていると、立て直しのポイントは、1つは教育委員会との連携がうまくできたこと、もう1点は優秀な教師を一気に投入したこと、この2点が成功の秘訣であったようです。
 体制を整えて、子供たちの規範意識を高めるために団体行動を重視し、併せて問題行動のよく起きる昼休みを短くするなどの対策を行いました。
 これら生徒指導の姿勢の奥には「このままではいけない。子供たちのためにならない」という強い意志の存在が感じられます。

 さらに、現在の校長先生は、生徒にとってとっても身近な存在になっているようです。
 教室を回り生徒と一緒に授業を受けたりしているため、子供たちからは「また来たぁ。校長先生も他の先生と同じようにしっかり働かないといかんよ」と言われ、先生方からは「校長、軽すぎますよ。校長は、どっしりと校長室にいないと」などとからかわれたりしていると話していました。

 校長先生は、「生徒をただ支援すればいいのではなくて、正しい介入をしながら支援することが大事なんです。
 嫌いな子とどのように付き合っていけばよいのかを学校生活を通して学んでもらいたいと思っています。
 そのためにグループでの授業や考える授業も展開しています。
 子供たちには人も自分も尊重できる人間になって欲しい」と話していました。

 教師のための子供中心主義、あるいは、まやかしの子供中心主義ではなく、子供がより良く成長するための「本当の子供中心主義」を信念として教育に携わっている教師がいます。
 いじめの相談を受けていますと、私たちが出会う教師は「だめな先生」ばかりになってしまいがちです。
 しかし、日本の教育を支えているのは、「本気の先生」です。

 今、熱意ある先生が活躍できる「教育システム」が必要です。
 私たちの政治への影響力はまだまだ少ない状態ですが、いじめ問題を通して、今後とも「教育改革」の必要性を訴えてまいりたいと思います。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明