2013年12月の代表メッセージ

□■ いじめと学力 ■□
 昨晩、駅を降りたら駅前にはイルミネーションが点灯されていました。もう12月ですね。
 これから年末に向けてあわただしくなっていくことでしょう。

 12月4日、いじめから子供を守ろうネットワーク東京(代表 栗岡真由美)として、東京都に対して「いじめ防止条例の制定」の陳情書を提出し、陳情が受理されました。
 今後も全国で「いじめ防止条例の制定」を陳情してまいります。

 先日お会いした小学校の校長先生は、「いじめ防止法ができて、学校が変わりました。教員のいじめに対する意識もあがりましたね」と話していらっしゃったので、少し安心してはいます。

 しかし、現在対応しているいじめの相談では、学校側が完全に開き直っていて膠着状態になっています。
 学校は、「いじめの調査をしましたが、いじめはありませんでした」の一点張り。
 市教委も県教委も学校がそういうのだからと、被害者本人、両親の訴えをまったく聞こうともしません。
 学校と教委が組んでしまうと保護者にはなすすべがない状態になります。
 あとは、警察かマスコミぐらいしか残っていません。
 ちなみに、法務局にも訴えたところ、連絡はとってくれましたが、「うちには強制力はありません」と返されてしまいました。
 結局、「いじめ防止法」に隠蔽する学校、教員に対する懲戒がなければ、効果がないのです。
 いじめ防止条例に、教職員への懲戒規定も盛り込むよう陳情を通して全国各地で働きかけてまいります。

 また、12月4日の各新聞は、OECD(経済協力開発機構)の国際学習到達度調査(PISA)の結果、日本は09年の前回調査に比べ、「読解力」が8位から4位に、「科学的応用力」が5位から4位に、「数学的応用力」が9位から7位に上昇し、文科省のゆとり脱却の効果が現れたものと報道しています。
 本当に、ほっとする結果です。

 時を同じくして、11月29日には、2件の文部科学省の方針変更が公表されました。
 一つが、土曜授業を認めたこと、もう一件が、全国学力テストの学校別成績の公表です。

 土曜授業については、学校教育法施行規則を改正し、公立学校は、「教育委員会が必要と認める場合は授業の実施ができる」としました。
 ちなみに、この改正に併せて、文科省は同日、「土曜日教育ボランティア推進本部」を省内に設置し、同省の全職員に土曜授業への参加を呼び掛け、文科相も12月中旬、都内で小学校5年生に算数を教える予定とのこと。

 学力テストについては、これまで禁じてきた市町村教育委員会による学校別の成績公表を来年度から認めるとのことです。
 これは、現場の校長先生の要望に応える形での変更です。
 ただし、一覧にして比較したり、順位を付けたりすることを認めない、さらに公表には結果分析と改善策の提示を義務付けるとしています。

 OEDCの結果は好転してきておりますが、これら2件の方針転換の背景にあるのは、「学力低下」問題です。
 学力の低下といじめ問題は、一見、別の次元の話にも見えますが、根底は一つです。

 「子供中心主義」と呼ばれる「優しい教育」が教育の低迷をもたらしているように、いじめの現場からは見えています。
 「間違っていることは間違いだ」と言える態度は、「学力は大切だ」と言える態度と一致します。
 やはり、教育によって、子供たちの学力面と人格面の向上に努めることは、教師、そして保護者、さらには大人の責任なのだと自覚しなくてはなりません。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明