2016年12月の代表メッセージ

■□ 学校を通さずに「重大事態」の報告できるシステムを! □■

12月ですね。師走という言葉を聞く季節になりました。
「師走(しわす)」、つまり師、先生が走らなくてはならない程に忙しい季節だからと教わったものですが、今の子供たちはどのくらい知っているのでしょうか。(諸説あるようです)。

相談にのっていた高校生とこんな会話をしたこともあります。
「クリスマスは何の日か知ってる?」
「知らないよ。何の日なの?」
「キリストっていう人が生まれたんだよ」
「何した人?」

これだけイルミネーションや、クリスマスツリーが街中に飾られているので、子供たちは楽しい雰囲気を味わっていると思いますが、やや残念ですね。

クリスマス、お正月と続く子供たちにとってはわくわくするような月が始まります。
しかし残念なことに、いじめの報道が後を絶ちません。
青森の中2女子の自殺事件、青森の中1男子の自殺事件、兵庫県加古川で9月に中2女子自殺が発覚、
横浜の中1男子の震災いじめ事件、学芸大付属高のいじめ重大事態事件、新潟の男子高校生飛び込み事件等々。
悔しいことに、保護者や本人が「いじめられている」と訴えていた事案が多いことです。
いじめの初期段階で、いじめを解決できていれば、ここまでにはいたらなかったはずです。

私の方も、先月17日に日テレで紹介されたことに続いて、
30日は、フジテレビのユアタイムから緊急での取材が入り、学芸大付属高の事件に関してのコメントが放送されました。
事務所に取材に来られたディレクターは、元、高校の教師をされていたということでした。
教育に関わった人間として、子供たちの現状についてのいきどおりと悔しさがその言葉の中に見え隠れしていました。

今回の事件は、学芸大付属高校において、「重大事態」に該当するいじめ事件が起き、学芸大学が半年も報告を遅らせたというものです。
いじめの内容は、体育祭の練習時に手首を骨折させられた、投げられて脳震盪を起こした、セミの幼虫をなめさせられたことが分かっています。
被害者はいじめアンケートに「いじめがあった」と回答していたことも報道されています。
この事件について学校は、朝日新聞の質問に対して、
「本人が、骨折については自分で転んだと言っていた」
「脳震盪については、原因の追求をせず、報告書もつくっていない」
と回答しています。
また、アンケートについては、「いじめは確認できなかった」とのこと。

これは、明らかに隠蔽であり、学校の対面しか考えていないと言われてもしかたない状況です。
いじめ相談に来られる保護者の方と話していて感じるのは「学校は重大事態を認めたくない」それどころか「いじめがあった事実」を認めたくない学校がこれほど多いということです。
私たちのところに来る相談からみると、「国立の付属中学、高校」は、いじめが解決しにくい学校であることは確かです。
この学校の教師の多くは、子供たちの生活指導に関心が無いように感じられます。
入学して来る子供たちは優秀な成績の子が多いので、「勉強は自分でやれ」という姿勢で接してくるという話をよく伺います。
その結果、公立の先生に比べて、「いじめの対処法」についての知識不足、スキル不足になりがちです。

さらに加えて、学芸大の学長も、付属高校の校長も「報告しなければならない」という根本的なことさえ知らなかったのではないかと思います。
公立でしたら、教育委員会という組織が上にありますが、国立の場合、上の組織と言ったら文部科学省そのものになります。
きめ細やかな指導などされているとは考えられません。
そもそも、「いじめ防止対策推進法」など細かく読んだり、研修をしたりもしていないのではないかと推測されます。

ですから、私たちが訴えているように「いじめ防止対策推進法」には、ひどい対応をする教師は「懲戒処分」にするということを明記することが欠かせません。
しかし、それだけでなく、「重大事態」を認定し報告することが「学校だけ」に委ねられていることも問題です。
学校は「重大事態」や「いじめ」を認めたくない傾向がありますから、学校を通さずに、保護者や本人から「たいへんないじめを受けている。重大事態だ」という訴えを受け付けるべきです。
さらには、「ウソをついてはいけない」、「隠し事はだめだ」、「悪いことをしたらあやまりなさい」と教えている教師自身がこの言葉を自分が率先垂範しなくては意味がありません。
文科省には、制度やシステムだけではなく、教師自身の誇りや責任感、さらにはモラルをあげるべく、先生を鼓舞する
「教師への道徳授業」、「教師としての自覚向上」のためのプログラムを実施していくことを提案したいと思います。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明