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今月の代表メッセージ

3月の代表メッセージ


☆2020年3月6日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 大津いじめ自殺事件の高裁判決、これでいいのだろうか □■

3月、全国のほとんどの学校が、休校になり、40日近くの休みに入るという事態になりました。
いきなりでした。
2月27日の木曜日の夕方に、突然、安倍晋三首相が、第15回新型コロナウイルス感染症対策本部の席上で、
3月2日の月曜からの臨時休校の要請をいたしました。
先生たちもテレビのニュースで初めて知ったわけで
次の日の金曜日の28日、学校に出勤して、朝一番から様々なことを次々に決めて
翌週の月曜日、2日からの休校を実施しなければならなくなりました。
先生方に伺うと、なんとか一週間ぐらいは時間が欲しかったというのがとりあえずの感想でした。

「今日が今学期、最後です。月曜から休みです」となったわけですから
先生方も生徒たちも唖然としたことでしょう。
「卒業式の予行を予定していたのですが、いきなり本番にしました」とか、
「来週からは期末試験だったので、問題を作って印刷もしたんですが、シュレッダーですよ」
「今日で、もう会えなくなる」と泣いている子がいる一方で
「生徒が喜んじゃって、喜んじゃって」と言っている先生も。
全国の大半の学校で、長い長い春休みが始まっています。
この期間をどう過ごさせるか、保護者も悩んでいることだと思います。

話は変わりますが、2011年に起きた滋賀県大津市のいじめ自殺事件について新しいニュースが流れました。
2月27日には大阪高等裁判所で、大津いじめ自殺事件の控訴審の判決がでました。
佐村浩之裁判長は、元同級生2人に対して約3750万円の支払いを命じた一審の判決を
10分の1に減額して約400万円としたというものです。
判決では、いじめと自殺の因果関係については認めたのですがが、大幅な減額になりました。

報道によりますと、
・自殺は自らの意思によるものだ。
・両親が別居していた。
・男子生徒が無断外泊した際に父親が顔をたたいた。
・したがって「両親側にも家庭環境が整えられずに男子生徒を精神的に支えられなかった」として過失相殺を適用。
・大津市からの和解金の額などを差し引いた。
ということのようです。
また、判決を受けて父親は
「これまで被害者が高裁で逆転敗訴する例が多かった中で、いじめ訴訟を大きく前進させる画期的な判断が出た。
元同級生は謝罪の気持ちを持ち、猛省した上で立派な社会人になってほしい」と、話したとのことです。

お父さんの発言には心打たれます。
でも、本当にこれが正しい判決なのでしょうか。
法律家ではない私としては納得できかねます。

確かに自らの意思で死を選んだと言われればそうですが、
そこまで精神的に追い込まれていたという苦悩やつらさが理解できないのでしょうか。
まだ中学生です。大人ではありません。
今の時代、PTSDになれば、ケアするのは当然のことです。ましてや自殺するような事件に対しての
判決としてはひどすぎる言い方だと感じます。
法律ではそうなのかもしれませんが、血も涙もないというか、冷たすぎる。

両親が別居していることで「過失相殺」だとか、そんな理由が通用するのが裁判の世界なのでしょうか。
一人親家庭についてはどう考えているのでしょうか。
さらには無断外泊をして叩いたから「過失相殺」とは驚きです。
息子や娘が無断外泊をしたら叱るのは当たり前です。
虐待と一緒にするのは行き過ぎです。これを過失だと言われるとは。
裁判長は、どんな世界に生きているのか不思議に思います。
さらに、大津市の和解金分を減額するとは。
加害者の賠償とは関係ないはずだと思うのですが、
今回の判決を見る限り、裁判の世界は、この世の常識とかけ離れているようにしか思えないのです。

いじめの裁判では、よくある程度の賠償金ではあります。
この裁判、もしかしたら、先に400万円の賠償という「金額」を先に決めたのではと疑いたくなります。
その上で、一審のメンツをおとしめないように、
理由を後付けして、この400万円という金額を正当化したように思えるのです。
素人の戯言と言われればそれまでですが、
一審の判決が、今後のいじめ問題に大きな一石を投じたものだっただけに残念です。

この大津のいじめ自殺事件が契機になり、「いじめ防止対策推進法」が制定されるなど、
いじめが大きな問題となっている日本ではありますが、
「新型コロナウイルス」で突然の「学校休校」という事態に対して、
多くの先生が、パニックに陥ることもなく、
粛々と対応されている様子を見て、日本の先生は優秀なんだと改めて感じました。
マスクや消毒液の高額転売という問題はありますが、暴動もパニックも起きていません。
子どもたちを抱える保護者や大人たちの道徳心は、まだまだ捨てたもんじゃありません。
その道徳心で、「いじめは悪いことなんだ」と自覚できるように、
ひとりひとりの子どもたちを導いてあげていただきたいと思います。

このあと、子どもたちが学校に通うようになるのは、4月の入学式や始業式です。
全国の子供たちが元気で登校できるように祈りたいと思います。
いじめでクラス替えや転校を考えていたり、いじめがまだ解決しないでいたりする保護者も多いと思います。
休校でも先生方は学校に出勤しています。
早めに学校にご相談されることをおすすめいたします。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


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