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今月の代表メッセージ

8月のメッセージ


■□ 国のSNS相談-解決しなければ意味がない □■

夏休み真っ最中、暑いですね。
でも、子供たちは夏を謳歌しているはずです。

さて、大人たちも頑張っています。
文科省のいじめ防止対策協議会が、7月31日に、いじめ相談にSNSを活用するための中間報告をまとめたとのことです。
確かに子供からの相談は、電話よりSNSが多いのは事実です。

NHKの報道をまとめてみますと、
・SNSの利点として、子供たちが絵文字などで自分の思いを気軽に伝えられる
・相談者にはSNSを使い慣れた学生や若者のコミュニケーションに精通した人を入れる必要がある
・自殺をほのめかすなどの緊急の相談の場合は、できるだけ早く音声による相談に切り替える、加えて、子供たちの個人情報の厳格な管理が必要
・そのうえで、来年度、モデル事業として、一部の学校や地域で実施し、その効果を検証し、全国展開を検討する。

報道を見る限りは、真摯に対応しようとしているように見えます。
しかし、中間報告案および、前回の委員会を直接傍聴してきた私たちとしては、いくつかの提案をしておきたいと思います。

提案の前に、一言、述べておきたいと思います。
ご存じの方も多いことだとは思いますが、私たち「いじめから子供を守ろうネットワーク」は電話相談だけでなく、掲示板での相談、メールでの相談をもう10年以上も受け続けております。
この10年、私たちが受けたSNSを介した相談には、自殺予告や、リストカットなど一歩間違えれば大変なことになるという相談もありましたし、お子さんをいじめ自殺でなくされた方との交流もありました。

ですから、単なる批判のための批判ではありませんし、机上の空論でもありません。
実際に相談を受け続けている人間として、文科省に伝えたいのです。

協議会では、
「保護者の相談を受けると何らかの回答をださないといけなくなる。保護者については今後の検討ということにしたい」という趣旨の意見も出ておりました。
「いじめ相談」は解決するために行なわなければなりません。
過激に聞こえるかもしれませんが、「解決策を提示できなければ意味がない」のです。
保護者だけでなく、子供たちも「いじめ」を相談するのは、「聞いてもらいたい」から相談するわけではありません。
「解決してほしい」のです。
「解決してくれない相談機関」は必要ありません。お金の無駄遣いと言っても過言ではないと思います。
「解決する」ことを前提に、子供たちをがっかりさせない体制を構築していただきたいものです。

また、議論の1つとして、
「子供たちのスマホ、携帯には、相談員がどのように対応したか痕跡を残さないようにしたい」との意見もありました。
一方「あとで読み返すためには、やり取りを残してあげるべきだ」という意見も出ていましたが、今回の中間報告を読む限り、「チャットのようにリアルタイムでやり取りをすれば、運営側だけがデータを取れる」という方向で調整が進んでいるように読めます。
加えて「制限時間内に応答がなければ打ち切る」とか、「定時になったら強制終了するのはどうか」との意見も採用されてしまいそうです。
この意見からは、「その場かぎりの対応しかしないし、できない」という姿勢が見て取れます。
これでは、ほとんどのいじめは解決できません。

子供たちからの相談は、
「死にたい」、
「いじめられている。学校行かなくてもいい?」、
「もうやだ」とか、
そんな一行だけの言葉から始まります。
その子の心を開き、信用してもらうためには、何十回ものやりとりが必要です。
何日もかかることもよくあります。
しかも、第一声に対しての返信を失敗したら、二度と連絡がとれなくなります。
ひとつひとつを丁寧にやり取りして、徐々に実態が分かってくる。
そこから解決策を模索してゆくものなのです。

また、子供たちだって、ご飯も食べます、お風呂の時間もあります。宿題もあります。
チャットしている間だけで相談が終わるわけがありません。
解決するために必要な相談員側の姿勢としては、「解決するまで、その子とやり取りを続ける」という覚悟が必要です。
同じ相談員が、繰り返し繰り返しやり取りして、やっと名前が聞ける、学校が分かる、いじめている子がわかる
そんなものなのです。
私自身、1人の子とのやり取りでだけ、一ヶ月に、携帯のメールの上限の1000件を超えてしまうこともあります。
1時間程度のチャットで終わりにしようなどと考えているようでしたら、甘すぎるのです。
本気でいじめを減らそうというならば、本気の相談体制を模索しなければなりません。

「繰り返し相談される場合がある」ことを問題点としてあげている意見もありました。
繰り返し相談されて困るような相談体制は必要ないとも言えます。
解決しなければ、当然、何度も相談してきます。
当たり前です。
文科省としては、「繰り返し相談させない、リピーターをやめさせる」という議論ではなく、繰り返し相談してくるような事案を「どう解決するか」というところに議論を進めなくてはならないはずです。

いじめの相談は、単なるなやみ相談ではありません。
重大事態が目の前に迫っているという認識の下で対応していかなくてはならないのです。
文科省をはじめ、委員の皆様には、子供たちの実態に即したSNS相談体制をつくりあげてほしいものです。

夏休みではありますが、いじめ加害者から呼び出される、あるいは家に押しかけてくるという夏休みならではの相談事例もあります。
また、休み前のいじめ問題で学校とやり取りしている方もいらっしゃいます。
どうか、ご遠慮なくご相談していただければと思います。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明


 【過去の代表メッセージ】
 2017年7月の代表メッセージ『学校に口実を与えないために』
 2017年6月の代表メッセージ『子供のスマホを覗いたら、いじめを見つけてしまった!』
 2017年5月の代表メッセージ『教員が子供のことを考える』
 2017年4月の代表メッセージ『教育は自由であるべきだ』
 2017年3月の代表メッセージ『学校は「変えよう」と思えば変わる』
 2017年2月の代表メッセージ『学校にとっては暴力より「いじめ」が問題』
 2017年1月の代表メッセージ『1.いじめ撲滅に向けて、2.「いじめ」はなぜ起きる?』
 2016年12月の代表メッセージ『学校を通さずに「重大事態」の報告できるシステムを!』
 2016年11月の代表メッセージ『いじめの実態といじめ認知件数』
 2016年10月の代表メッセージ『被害者ファースト』
 2016年9月の代表メッセージ『子供たちが不安になる季節』
 2016年8月の代表メッセージ『「生徒指導支援資料6“いじめに取り組む”」に学ぶ』
 2016年7月の代表メッセージ『リフレッシュ』
 2016年6月の代表メッセージ『生徒自身によるいじめ対処の実践』
 2016年5月の代表メッセージ『捏造もありえる? 学校主体の調査委員会』
 2016年4月の代表メッセージ『「お互いを知る」からいじめが起きる』
 2016年3月の代表メッセージ『いじめによる後遺症を残さないために』
 2016年1月の代表メッセージ『新年にあたって』
 2015年12月の代表メッセージ『いじめに少人数学級は有効か』
 2015年11月の代表メッセージ『学校は治外法権ではない』
 2015年10月の代表メッセージ『「教師の力」が教育の力となる』
 2015年9月の代表メッセージ『「大阪市いじめ対策基本方針」に教師の懲戒処分』
 2015年8月の代表メッセージ『パソコンが原因?』
 2015年7月の代表メッセージ『1.「人としての誇り」を育てたい、2.自殺するぐらいなら学校に行かなくてもいい』
 2015年6月の代表メッセージ『「学校は警察じゃない」に反論しよう』
 2015年5月の代表メッセージ『5月は、不安な時期。支えてあげて欲しい』
 2015年4月の代表メッセージ『言うべきことは言おう』
 2015年3月の代表メッセージ『道徳教育のモラルジレンマ』
 2015年2月の代表メッセージ『フィンランドの教師が語る「家で教えて欲しいこと」』
 2015年1月の代表メッセージ『新年を迎えて』
 2014年12月の代表メッセージ『相談、続々の12月』
 2014年11月の代表メッセージ『35人学級?』
 2014年10月の代表メッセージ『警察庁統計発表によせて』
 2014年9月の代表メッセージ『やればできる』
 2014年8月の代表メッセージ『いじめと戦おう』
 2014年7月の代表メッセージ『不登校ゼロの学校があった!』
 2014年6月の代表メッセージ『子供ができるいじめ対処』
 2014年5月の代表メッセージ『子供の無限の可能性を信じよう』
 2014年4月の代表メッセージ『あきらめない』
 2014年3月の代表メッセージ『教師に道徳教育を』
 2014年2月の代表メッセージ『国境を越えて、いじめをなくそう』
 2014年1月の代表メッセージ『新年にあたって』
 2013年12月の代表メッセージ『いじめと学力』
 2013年11月の代表メッセージ『フリースクールより転校を!』
 2013年10月の代表メッセージ『「いじめ防止対策推進法」施行』
 2013年9月の代表メッセージ『子供たちにスマホ時代が来た!』
 2013年8月の代表メッセージ その2『いじめの原因は家庭?』
 2013年8月の代表メッセージ その1『実効性が薄い「いじめ防止対策推進法」』
 2013年7月の代表メッセージ『いじめ自殺をなくしたい! 参院選立候補表明』
 2013年6月の代表メッセージ『戻りつつあるいじめ対応』
 2013年5月の代表メッセージ『スクールカースト?』
 2013年4月の代表メッセージ『「文書」こそ、いじめ解決の王道 』
 2013年3月の代表メッセージ『子供たちのために 』
 2013年2月の代表メッセージ『ならぬものはならぬものです』
 2013年1月の代表メッセージ『さあ2013年』
 2012年12月の代表メッセージ『書籍紹介「いじめを絶つ! 毅然とした指導3」』
 2012年11月の代表メッセージ『「本気の先生」を応援したい』
 2012年10月の代表メッセージ『可児市いじめ防止条例施行』
 2012年9月の代表メッセージ『学校が変わった?』
 2012年8月の代表メッセージ『子供に元気を』
 2012年7月の代表メッセージ『責任の明確化』
 2012年6月の代表メッセージ『もうすぐ夏休み?』
 2012年5月の代表メッセージ『「なぜ日本の教育は間違うのか」(扶桑社刊)に思う』
 2012年4月の代表メッセージ『自律心を大切に』
 2012年3月の代表メッセージ『春休みを前に…』
 2012年2月の代表メッセージ『「いじめを訴える」ということ』
 2012年1月の代表メッセージ『新しい年を迎えて…』