HOME > 今月の代表メッセージ

今月の代表メッセージ

5月のメッセージ


■□ 教員が子供のことを考える □■

ゴールデンウィークが終わりました。
中間テストが迫っていますが、授業も落ち着き、子供たちも新しいクラスに慣れてきた頃です。
あわせて、いじめ相談が増えてくる時期でもあります。

さて、4月28日に文部科学省が2016年度の「教員勤務実態調査結果」を公表しています。
報道によると、中学校教員の57・7%が国の過労死ラインに相当する「週60時間以上」の勤務をしていることが明らかになりました。
小学校教員でも33・5%という数字となりました。
10年も前の2006年当時でさえ、「教員が子供と向き合う時間や生徒のことを考える時間が減った」と言われていたものです。
それが私たちが活動をはじめた2006年に比べて中学校では、1ヶ月の残業時間が20時間以上も増え、平均で93時間以上もの残業をこなしているとのこと。
しかも教員は、昼食時でさえ子供たちを見守らなくてはならず、実質的には「休憩時間が存在しない」という過酷な勤務体系となっていることも知られています。

このような状況が、いじめに対して立ち向うエネルギーを教師から奪っているのかもしれません。
先月、4月26日には仙台市で中2男子生徒が自殺し、5月5日の早朝、埼玉県川口市において中3女子生徒が死亡するという自殺事件が相次いでいます。
残念ですが、いじめが起きていた可能性が高いようです。

特に仙台市は、2014年9月の中1男子、続いて2016年2月にも中2男子と相次いで自殺事件が起きています。
その都度、学校、教育委員会の対応のまずさ、ひどさが問題として指摘され続けています。

今回も仙台市教委は、「いじめはなかった」と会見した4日後に、突然、「いじめはあった」と認めたのです。
河北新報の記事を下記に引用いたします。

——————
曖昧にしていたいじめの有無は、わずか数日で「ない」から「ある」に一変。(略)
見解の修正・撤回に影響したのは文部科学省の意向だ。文科省は1、2の両日、市教委に対し、今回の問題をいじめ防止対策推進法が定める「重大事態」と捉えるよう指導。
市教委は2日、今後は重大事態として調査を進める方針を決めた。
市教委幹部は29日の会見で当面、一般的な自殺事案として扱う方針を強調したが、文科省の指導で1日に「重大事態と同等」(佐藤正幸市教育局次長)と転換。2日には完全に軌道修正した。
——————
文科省が何も言わなければ、いまだに「いじめはなかった」といい続けていたかもしれません。
文科省の指導は当然のことであり適切であったと思います。
その後の報道では、昨年の6月には、本人がいじめを訴えていたことが判明しています。
いじめのアンケートにもいじめられていると回答していたというものです。
また、学校も両者の指導に当たったことが報道されています。
つまり、「知らなかった」はずはありません。
必ず明らかになる事実を隠そうとするとは、あまりにもお粗末です。

遺族や無くなった生徒への冒涜的な行為だと言わずにはいられません。
仙台市は、事件のたびに対応を強化することを繰り返し表明してきたのですが、体質改善には至っていなかったのです。
なによりも「組織を守るため」という閉鎖的思考が優先されているのです。

先日、講演に伺った学校の校長先生はこの会見についていきどおっておりました。
「まだ、こんなことをしているとは信じられません。
確かに昔はこのようなところがありましたが、今の時代、こんな対応はどこでもしませんよ」
同じ、教員としての恥ずかしさや怒りが込められた言葉だったように思います。
学校は今、いじめの事実に正直に向き合う姿勢を有しているかどうかが、問われています。

冒頭の「過労死レベル」の残業に追われている先生たちの「教師は忙しい」、「教師は残業代もつかずに頑張ってるんだ」という言葉は理解はできます。
でもそれは、いじめや不登校の前では、理由になりません。
「忙しくて子供を見れない」のであれば、子供を見られるようにしなくてはならないのです。
文科省、教育委員会が一丸となって教師の業務時間の改善と教師の意識改革に、早急に手を付けなくてはなりません。
いつまでもほっておくべき問題では、絶対にありません。

5月、子供たちのトラブルが起きやすい季節です。
よくお子さんの言動や行動を見守ってあげていただきたいと思います。
何か、気になることがございましたら、ご遠慮無くご相談ください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

代表 井澤 一明


 【過去の代表メッセージ】
 2017年4月の代表メッセージ『教育は自由であるべきだ』
 2017年3月の代表メッセージ『学校は「変えよう」と思えば変わる』
 2017年2月の代表メッセージ『学校にとっては暴力より「いじめ」が問題』
 2017年1月の代表メッセージ『1.いじめ撲滅に向けて、2.「いじめ」はなぜ起きる?』
 2016年12月の代表メッセージ『学校を通さずに「重大事態」の報告できるシステムを!』
 2016年11月の代表メッセージ『いじめの実態といじめ認知件数』
 2016年10月の代表メッセージ『被害者ファースト』
 2016年9月の代表メッセージ『子供たちが不安になる季節』
 2016年8月の代表メッセージ『「生徒指導支援資料6“いじめに取り組む”」に学ぶ』
 2016年7月の代表メッセージ『リフレッシュ』
 2016年6月の代表メッセージ『生徒自身によるいじめ対処の実践』
 2016年5月の代表メッセージ『捏造もありえる? 学校主体の調査委員会』
 2016年4月の代表メッセージ『「お互いを知る」からいじめが起きる』
 2016年3月の代表メッセージ『いじめによる後遺症を残さないために』
 2016年1月の代表メッセージ『新年にあたって』
 2015年12月の代表メッセージ『いじめに少人数学級は有効か』
 2015年11月の代表メッセージ『学校は治外法権ではない』
 2015年10月の代表メッセージ『「教師の力」が教育の力となる』
 2015年9月の代表メッセージ『「大阪市いじめ対策基本方針」に教師の懲戒処分』
 2015年8月の代表メッセージ『パソコンが原因?』
 2015年7月の代表メッセージ『1.「人としての誇り」を育てたい、2.自殺するぐらいなら学校に行かなくてもいい』
 2015年6月の代表メッセージ『「学校は警察じゃない」に反論しよう』
 2015年5月の代表メッセージ『5月は、不安な時期。支えてあげて欲しい』
 2015年4月の代表メッセージ『言うべきことは言おう』
 2015年3月の代表メッセージ『道徳教育のモラルジレンマ』
 2015年2月の代表メッセージ『フィンランドの教師が語る「家で教えて欲しいこと」』
 2015年1月の代表メッセージ『新年を迎えて』
 2014年12月の代表メッセージ『相談、続々の12月』
 2014年11月の代表メッセージ『35人学級?』
 2014年10月の代表メッセージ『警察庁統計発表によせて』
 2014年9月の代表メッセージ『やればできる』
 2014年8月の代表メッセージ『いじめと戦おう』
 2014年7月の代表メッセージ『不登校ゼロの学校があった!』
 2014年6月の代表メッセージ『子供ができるいじめ対処』
 2014年5月の代表メッセージ『子供の無限の可能性を信じよう』
 2014年4月の代表メッセージ『あきらめない』
 2014年3月の代表メッセージ『教師に道徳教育を』
 2014年2月の代表メッセージ『国境を越えて、いじめをなくそう』
 2014年1月の代表メッセージ『新年にあたって』
 2013年12月の代表メッセージ『いじめと学力』
 2013年11月の代表メッセージ『フリースクールより転校を!』
 2013年10月の代表メッセージ『「いじめ防止対策推進法」施行』
 2013年9月の代表メッセージ『子供たちにスマホ時代が来た!』
 2013年8月の代表メッセージ その2『いじめの原因は家庭?』
 2013年8月の代表メッセージ その1『実効性が薄い「いじめ防止対策推進法」』
 2013年7月の代表メッセージ『いじめ自殺をなくしたい! 参院選立候補表明』
 2013年6月の代表メッセージ『戻りつつあるいじめ対応』
 2013年5月の代表メッセージ『スクールカースト?』
 2013年4月の代表メッセージ『「文書」こそ、いじめ解決の王道 』
 2013年3月の代表メッセージ『子供たちのために 』
 2013年2月の代表メッセージ『ならぬものはならぬものです』
 2013年1月の代表メッセージ『さあ2013年』
 2012年12月の代表メッセージ『書籍紹介「いじめを絶つ! 毅然とした指導3」』
 2012年11月の代表メッセージ『「本気の先生」を応援したい』
 2012年10月の代表メッセージ『可児市いじめ防止条例施行』
 2012年9月の代表メッセージ『学校が変わった?』
 2012年8月の代表メッセージ『子供に元気を』
 2012年7月の代表メッセージ『責任の明確化』
 2012年6月の代表メッセージ『もうすぐ夏休み?』
 2012年5月の代表メッセージ『「なぜ日本の教育は間違うのか」(扶桑社刊)に思う』
 2012年4月の代表メッセージ『自律心を大切に』
 2012年3月の代表メッセージ『春休みを前に…』
 2012年2月の代表メッセージ『「いじめを訴える」ということ』
 2012年1月の代表メッセージ『新しい年を迎えて…』