2018年6月の代表メッセージ

6月のメッセージ

☆2018年6月7日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 教師には人格者であることが求められる □■

6日、近畿、東海、関東甲信地方も梅雨に入りました。
子供たちも雨の中をぬれながら登校していました。

さて、世間では、組織の体面を守るために、真実を覆い隠そうとする事件が相次いでいますね。
いじめ問題でも、
神戸で、市教委と学校長によるいじめ隠蔽が明らかになるという事件が起きています。

2016年に神戸の中3女子生徒が自殺した事件で、「いじめられていた」という他の生徒からの聞き取りした調査メモを、
市教委の首席指導主事が学校側に指示して隠蔽していたと、市教委が3日に公表しました。
当時、校長は「メモは存在しない」と説明し、第三者委員会や裁判所に対しても提出していませんでした。
市教委は関係者の処分を検討し、新たな調査委を立ち上げる意向を表明しています。

今回、明らかになったのはそれだけではありません。
実は、2017年の8月には新しい校長から、メモが存在することが市教委に連絡されていたのです。
その現校長が今年の3月に再度、報告して、市教委は4月に遺族に謝罪したというのです。
またその後の報道によると、
学年団教員の9人、および校長、教頭、スクールカウンセラー、派遣されていた市教委の指導主事を含めた席上で、
メモのコピーが配布され、聞き取った教員から説明があったことが判りました。
それだけではありません。
8月の現校長の報告を受けて、前教育長も把握していたのに何らの指示もしていなかったのです。
他にも課長、部長も把握していたと報道されていますが、この姿勢にはあきれるしかありません。
まさに学校、教育委員会をあげて組織ぐるみの隠蔽という図式が浮かんできます。

今の校長が繰り返し訴えなければ、この事実は闇に葬られていたことと考えられます。

組織を守るという考え方も、場合によっては大切な考え方になることもあります。
しかし、そのために隠蔽を正当化することがあって良いはずがありませんし、
隠蔽は、組織を守るどころか、組織そのものを破壊する行為となります。
「モラルなど守らなくてよい」、「犯罪を犯してもかまわない」、「手段も選ばない」というのでは
本末転倒、世の中そのものがおかしくなってしまいます。
社会の一員として、個人においても組織においても、
「社会に貢献する」という考え方を失ってしまったら、存在する意味などなくなると思うのです。

ましてや「教師」という職業には、一般の会社員よりも一層、強く「高潔さ」や「人格、品格」が求められるものなのです。
子供たちを教え導くという崇高な仕事に付随するものだと言えるのではないでしょうか。
先生は子供たちに「うそをつくな。正直になりなさい」と指導します。
その教師が「うそをつく」、「事実を隠す」、これはだめでしょう。

文科省は、「教師の役割」について、
「教員に求められる資質能力について 1.教員に求められる資質能力」
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/old_chukyo/old_shokuin_index/toushin/attach/1315387.htm) では、
「学校教育の直接の担い手である教員の活動は、人間の心身の発達にかかわるものであり、
幼児・児童・生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすものである。」と明記されています。
同ページには「教員の職務から必然的に求められる資質能力」として以下の三点が挙げられています。

1.幼児・児童・生徒や教育の在り方に関する適切な理解
2.教職に対する愛着、誇り、一体感
3.教科指導、生徒指導等のための知識、技能及び態度

結局、「教師として誇りや使命感を片時も忘れない」ことが
教師を教師あらしめているのではないでしょうか。
その奥には、子供たちへの深い愛の心があるからこそ
「私は教師です」と胸を張って言えるのです。

先生方の中には負担に感じられる方もいらっしゃるでしょうが、
子供たちは「先生の背中」を見ながら育っていきます。
大人になった今でも、素晴らしい教師との出会いは心に強く残っているものです。
是非とも子供たちの期待に応えてあげていただけたらありがたく思います。
やはり、隠蔽を主導する教育委員会、隠蔽する校長、荷担する教員は、
教師としての資格を「自ら投げ捨てた」と言えるのではないでしょうか。

私たちが永年、訴えておりますように、こんな教師は懲戒すべきです。
それは言葉だけでなく、具体的に法制化して、
国としての態度を明確にしなければなりません。
そのためにも「いじめ防止対策推進法」を改訂し
教師に対する処罰、懲戒規定を盛り込む必要があると思っています。
私たちは「頑張っている先生」や「熱意ある先生」、「いじめを解決できる先生」には大変お世話になっています。
そのような素晴らしい先生もたくさんいらっしゃいます。
この先生方を応援するためにも必要な法整備であると思っています。

6月、いじめが起こりやすい時期です。
不安に感じましたら、早めにご相談いただければと存じます。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


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