12月のメッセージ
☆2018年12月6日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 不登校に対応した制度改革を □■
12月、例年に比べて温かい気がします。
家の周りではイチョウの葉がやっと色づいてきましたが、
季節は秋ではなくて冬ですよね。
さて、現代の学校の抱える問題を、新聞等の記事から拾ってみると、
いじめ、不登校、虐待、発達障害、
体罰、教師によるセクハラ、教師の長時間労働などが
目に付きます。
少し前になりますが、以前相談を受けた子が東京に来ているというので
会いに出掛けました。
大学生になったその子に加えて、一緒に来ていた大学生の友人が二人。
その同級生の一人は、高校まで不登校だったと話していました。
「不登校の間、自分でもどうなるんだろうって、とても不安だった。
布団から出ようと思っても、起きるのが辛くて、寝てるだけだったなぁ。
でも、自殺したら『十倍苦しくなるんだ』って親が言うから、絶対に死なないって決めてた」
「よく出てきたね。何かあった?」
「よくわかんない。なぜかわからないけど、気がついたら動けるようになってた」
私たちのところにはいじめ以外にも不登校の相談も入ってきますが、不登校の相談は本当に難しいと感じています。
私の年代の頭の中には、
「学校にはいかなければならない。不登校は悪いことだ」
「学校に行かなければ勉強もできない。働くこともできない」
という先入観が染み付いています。
だから「学校に通えるようにしてあげたい」と思ってしまいがちです。
しかし、そう簡単には解決しないというのが現状です。
何より学校にいけなくなった原因を本人がわからないことが多いのです。
いじめによって不登校になっている子たちは、ある意味で原因がわかっていますから
加害者の子が謝罪したり、加害者の子が学校からいなくなったり、
自分が転校したり、先生たちが守ってくれて安全な空間が生まれたりすることで
学校に戻ることができるようになることもよくあります。
つまり、「いじめられなくなる」ことが確信できたら復帰できるのです。
いじめや友達関係以外にも不登校になる原因は様々です。
相談事例から拾ってみますと
・クラスに溶け込めない。
・いじめられている子を見たくない。
・担任と合わない。
・海外の学校の方が良かった。戻りたい。
・親がうるさい。
・長期間休んだので、戻るのが恥ずかしい。
・勉強がまったくわからない。行くだけ無駄。
・学校が荒れていて、クラスが学級崩壊している。
等々、多種多様な理由を抱えています。
中には、相談電話を受けて次の日から学校に行けるようになったという事例もありますが、
あくまでも特例ですし、奇跡レベルです。
特に、原因が不明の場合は、得てして長期戦になりやすいと感じています。
また、いじめが原因であっても、すでに不登校状態が何年も続いているような場合などは
簡単には解決しないものです。
ただ言えることは
その子たちにとって「学校は行きたくない場所」ということです。
「学校は怖い」
「私のことなんて誰もわからないんだ」、
このような気持ちを抱えて一人で苦しんでいる子供たちが多いのです。
不登校と向き合う時、私たち大人は
「学校は楽しくない」という気持ち理解してあげること、ここが出発点なのではないかと思っています。
今年、公表された不登校の児童生徒は14万4031人、小学生が3万5032人、中学生が10万8999人となっています。
不登校の子を抱えている保護者も苦しんでいますが、
多くの教師たちも苦しんでいます。
心ある人ほど苦しんでしまうのです。
対策もさまざまに議論されています。
私たちとしては、
「学校に行かなくても良い」と考えています。
しかし、社会に出てから困らないだけの基礎的知識をつけてあげることは、保護者の役割だと思っています。
そのためには、通信制の学校を選択することも必要ですし、
渡部昇一先生が生前提唱されていたように「塾を学校と認める」ことや、
さらには、ホームスクールでの学習を認定するという方向、
つまり「学校でなくても学習できる」という制度改革が必要だと考えています。
ただ、根本には子供自身の意欲がなければ、何をやっても無意味だとも言えます。
ですから、自主独立の精神、自立する心、挑戦する勇気、強い精神力、
感情をコントーロールする力などなど、
日頃から気にかけて、
本人が成長する方向でサポートしていく必要があると思っています。
12月、これから、クリスマスもありますし、冬休みもあります。そしてお正月も間もなくです。
子供たちにとってはうれしい日が続きます。
そんな中、落ち込んでいる子もいると思います。
ぜひ、お話を聴く時間をとってあげて下さい。
なにかご不安なことがありましたら、ご遠慮無くご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明