2019年4月の代表メッセージ

4月のメッセージ

☆2019年4月4日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ いじめ放置に厳しい処分を □■

なぜか季節外れの寒気が日本を覆って、
雪が積もる地域もある4月のはじまりとなりました。
平成から「令和」へと時代が移り変わるという平成、最後の月ですが、
今月から新年度が始まり、子供たちは希望と共に新しい学年を迎えようとしています。

一方、いじめ関連の残念な事件も報道されています。
先週、広島県呉市の中3男子がいじめで不登校になったと訴えたのに、
放置されていたというニュースが流れました。
一年の頃からいじめはあり、二年生の11月には3回も、
昼休みに教室で同級生4~6人に床に倒され、手足を押さえられてズボンと下着を脱がされるなどされ、
保護者が学校に相談したのです。
本人はいじめを受けて「眠れなくなり、同級生や先生の顔を見るのはつらかった」と話しているとのことです。
すでに事件から1年以上もの時間が過ぎ去ってしまい、3月には卒業してしまいました。

下着を脱がすなどのいじめは「重大事態」にあたると文科省の指針にはあります。
平成29年3月付の文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、
重大事態と扱った事例の一つとして
「○多くの生徒の前でズボンと下着を脱がされ裸にされた。※」との事例が示され、
さらに「※の事例については、通常このようないじめの行為があれば、児童生徒が心身又は財産
に重大な被害が生じると考え、いじめの重大事態として捉えた。」と補足されています。

また、ガイドラインの中では被害者が申し立てた場合、学校は重大事態を前提に報告・調査するように規定しています。
したがって、本来であれば、保護者からの訴えがあった時点で即座に「重大事態」として
認定されなければならなかった事案です。
その後、この中学生は2018年に不安障害と睡眠障害の診断がくだされています。
放置されなければ、ここまで至ることはなかったとも考えられる残念な事件です。

学校は、保護者からの訴えがあったことで、加害生徒への聞き取りをしたようですが、
被害生徒への説明はとても納得できるようなものではありませんでした。
「学校から遊びと説明された。いじめを軽く見ていると思った」と男子生徒は語っています。
「本人がいじめとかんじていたらいじめ」として扱うという原則にさえのっとらずに、
本人に無理やり説得し口止めしようとした事実が浮かび上がってきます。
さらに学校は失策を重ねて、
保護者が精神疾患を発症したと訴えてからも、半年以上「重大事態」として扱わずに
第三者委員会の設置などもされませんでした。
しかも、今年2月になってやっと、教育委員会から「重大事態に認定し、第三者委を設置したい」と伝達されたのですが、
その際にこれまで認定しなかった理由を
「調査が被害生徒の負担になることなどを考慮した」と述べたというのです。
あきれるばかりの対応です。
身勝手すぎます。
都合が悪くなったから「いじめと認めた」としか思えません。

学校関係者は、本人や保護者が重大事態だと訴えたら、「学校は重大事態を前提に報告・調査するということが、
国としての方針なんだ」ということをしっかりと心に刻んでいただきたいと思います。
もっと簡単に言えば、「被害者の立場で考える」ということです。
学校の対面とか、教師のプライドとか、仕事が増えるとか、
被害者には関係ないのだと、常に自らに言い聞かせながら、いじめに対処していただきたいものです。

一方、神奈川県茅ケ崎市の小学校では、
いじめを受けて不登校になった男子児童を担任が放置したということで、
担任を停職1ヶ月、校長を減給6ヶ月、教頭を戒告の懲戒処分とした、というニュースがありました。
神奈川県教委の判断は当然だと思いますが、
ここまで踏み切る県教委は全国的にはまれにしかありません。

現在、いじめ防止対策推進法では、教師の懲戒処分が検討されていますが、
早急に法制化し、呉市のような事案にならないようにしていただきたいものです。

4月はいじめが少ない月です。
だからこそ、学年の最初の月が重要な意味を持ちます。
子供たちは、新しい学年、新しい友だち、新しい学校で大きく環境が変わって
不安になることも多いことだと思います。
保護者としては、子供たちの小さな変化に、すぐ気付くことができるように
こまめにお子さんとコミュニケーションを取ってあげてください。

私たちも保護者の皆様のお役にたてればと考えております。
ご遠慮無く、ご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


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