12月の代表メッセージ
☆2020年12月11日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 教師の「言い訳」 □■
師走ですね。
冬らしい寒さが訪れましたが、新型コロナは治まらず、
暗い世相という雰囲気が漂っています。
来年こそ、新型コロナを克服し明るい未来を期待したいですね。
「いじめの解決をしていくなかで、どんなことが一番大変ですか」
先日、高校生からこんな質問をいただきました。
やはり、「いじめ」がおきても、生徒同士、子供たち同士で解決できることが、
一番いいと私たちは思っています。
いじめと言っても、人間関係の問題には違いありません。
意見の相違や、好き嫌い、相性が合う、合わないなど、多様な個性の違いを、
どのように調整していくかという問題だと言えます。
それを「いじめ」という行為を通して、自分が優位になるようにすすめようとする一部の子がいます。
子供たち自身が調整できれば、「いじめ」にはならずにちょっとしたトラブル程度で終わるものなのですが、
実際には「いじめ」は大きな問題となっています。
特に、私たちのところに来る相談は、生徒同士の話し合いとかでは解決できなくなってしまっている案件ばかりです。
そんな膠着してしまっている「いじめ」を解決するには、教師の正しいジャッジが必要です。
つまり、先生が動いてくれないと、いじめは解決しないと言えるのです。
私たちは、いじめを8千件以上も扱い、9割方解決したと言ってはいますが、
それは、言い方を変えると、現場の先生に解決を促して解決したということなのです。
「何が大変なのか」という冒頭の高校生の質問に対する答えとしては、
「先生に、いじめを解決する気になってもらうのが大変なんです」ということです。
教師が本気になったら、解決できないいじめはないと言っても過言ではありません。
しかし、この「やる気になってもらう」、「解決に乗り出す」というところに
至るまでに、教師の「やれない理由、やらない理由」を乗り越える必要があります。
あえて「言い訳」と表現いたしますが、
以下に典型的な先生方のいじめを解決しようとしない言い訳を列挙してみます。
1. 私は、いじめを見ていません。
2. いじめの証拠がありません。
3. 本人は明るく元気に過ごしていますから、いじめられているとは思えません。
4. その子たちは「やっていない」と言っています。
5. その子たちも私の生徒ですし、その子たちも良い子なんです。
6. その子たちを叱ったら、もっといじめられますよ。
7. お宅での育て方が良くないので、いじめられるんですよ。
「これらの言葉をひっくりかえして、学校に解決にのりだしてもらうための交渉が
やはり一番大変で、とても難しいんです」と高校生には説明しました。
しかし、学校がその気なってくれさえすれば、一日で解決することもよくあります。
一年以上も解決しなかった「いじめ」が一日で解決するという、信じられないような逆転劇がおきるのです。
くり返しますが、先生方がやる気になればいじめは解決できるのです。
解決方法を知らない若い先生しかいないという学校はありません。
何人もの教師がいますので、経験や智恵、ノウハウやリーダーシップを持った教師は必ずいます。
その先生たちを動かすことが重要です。
そのための方法として、私たちは
いじめの状況を時系列で文書にまとめ「いじめの経緯書」をつくることと、
学校にしてもらいたい対処を「要望書」という形で文書にすることを
勧めています。
さらに関係する子供たちが多いときには「生徒の相関図」をつくることも効果的です。
このように文書化することで、「いじめ」が見えてくるのです。
担任に言葉で2時間説明しても、担任から校長への説明は10分もかからないのが普通です。
しかし、文書にして渡すことで、多くの先生がいじめの事実を把握できることになります。
そして、何より、担任と話すのではなく、直接、「校長先生」に訴えることを勧めています。
質問してくれた高校生に「学校にいじめは多いの」と逆に質問してみました。
「うちの学校ではないと思う。私も友達も聞いたことがないですし。
それに、うちの高校でいじめは即退学だから」
なんと、公立の高校でも「いじめは即退学」ということを徹底している高校があるんですね。
結局、リーダーの考え方一つでいじめは変わるのです。
こんな学校がもっともっと増えてほしいものです。
今年もまもなく終わり、新しい年が幕を開けます。
新型コロナの影響はまだ続いておりますし、
子供たちにとっては受験の季節ですし、ゆっくりしていられない子も多いと思います。
いじめ問題に関していえば、まもなく三学期に入りますので、早めに対処しないといけない季節です。
学年が変わってしまうと、クラス替えのお願いもできませんし、
学年も変わるからと、いじめに対処することを躊躇する教師も出てきます。
保護者の皆様も早めの判断が必要です。
何か気になることがありましたら、ご遠慮無く、ご相談いただきたいと思います。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明