10月の代表メッセージ
☆2021年10月21日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 令和2年度いじめ認知件数について □■
今朝の電車の中や街にはコートを羽織った人が数多く見られました。
ここ数日、朝の天気予報を見ている気温が11月下旬並みまで下がっているとのこと、
朝の冷たさに、冬がもうそこまできているのを感じます。
さて、先週の13日、いじめ認知件数が公表されました。
文部科学省の「令和2年度の問題行動・不登校調査」は、
2020年(令和2年)4月1日から、2021年3月31日までの
コロナ禍における子供たちの調査結果です。
主なデータは以下のとおりです。
1.「いじめ認知件数」は、51万7,163件。(前年度より9万5,333件減少)
2.「ネットいじめ」、1万8,870件。(前年度より946 件増加)
3.「重大事態のいじめ」514件。(前年度より209件減少)
4.「暴力行為件数」は、6万6,201件。(前年度より1万2,586件減少)
5.「不登校児童生徒数」は、19万6,127人。(前年度より1万4,855件増加)
6. 自殺児童生徒数415人(学校からの報告数)。(前年度より98人増加)
2020年3月2日から全国の学校は休校になり、解除されたのは概ね6月1日以降となりましたので、
いじめ認知件数や、暴力行為件数については実質、10ヶ月間のデータと言えます。
この状況を踏まえると、いじめ認知件数については、昨年の61万2,496件と大差ないように感じていますし、
暴力行為件数も昨年の7万8,787件と同程度とみてよいと思います。
一方、小中学校の不登校児童生徒数は1万4,855人増え、19万6,127人と過去最多となっています。
新型コロナウィルスの影響で休校期間が長かったことに加え、オンライン授業も増えたことで
「学校に通わなくてはならない」という義務感が薄れたことが大きく影響したように思います。
また、今回の調査結果について、文科省では
「必ずしも肯定的に捉えることはできない。
(被害者が)1人で抱え込んでいる可能性がある」
と述べていると報道されています。
ですから、今回「いじめ認知件数」が減ったからと言っても、
「いじめが減っている」と安易に考えるべきではありません。
旭川市で起きたいじめ凍死事件や、町田市でのネットいじめでの自殺事件を見ても、
学校だけでなく、教育委員会も巻き込んで隠蔽するような事件が、全国で起きています。
全体を見れば、いじめを隠蔽しようという先生方は大幅に減ったように見えますが、
まだまだ勢力を保っているようです。
今回の調査結果でも、いじめを認知していない小中学校が、全国で4,159校、全体の13.87%もあります。
いじめ認知件数が極端に少ない自治体もありますので、
100万件を超える程度の数字になっても不思議ではありません。
51万7,163件といういじめ認知件数は、そのまま鵜呑みにはしにくい数字です。
公立の学校を指導している教育委員会の方々には、学校に対して隠蔽することがないように
もう一段指導を強化していただきたいと思います。
昨今のいじめ事件の報道や、私たちのところに届く相談を見ていて感じることは、
「いじめ解決の鍵は教師にある」ということです。
いじめの隠蔽を指揮した学校長が栄転するような組織であってはなりません。
やはり、いじめを隠蔽し、いじめを放置したり、いじめに加担したり、
さらには、いじめ隠蔽を指揮するような管理職も含めて、
いじめを増長させるような行為をした教師に対する懲戒処分を厳しくすべきです。
文科省は、このような教師に対する罰則を法制化することを以って、
「いじめを解決する」から逃げようとする教師を減らさなければならないのではないでしょうか。
10月に入って、いじめの相談が相次いでいます。
例年のことですが、10月から冬休みにかけて、いじめが発生しやすい季節です。
また、文化祭等の学校行事も多くなると共に生徒間のトラブルも起きやすい時期ですので、
何か、不安に感じたりしましたら早めにご相談いただきたいと存じます。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明