6月の代表メッセージ
☆2023年6月17日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 教師は「何が大切なのか」を考え続けて欲しい □■
梅雨ですね。
こちらでは雨模様の日が続いて、梅雨らしい梅雨を味わっております。
大雨にならないことを祈るばかりです。
街中では、新型コロナが5類に指定されたためか、
マスクを外している人の姿もかなり見かけるようになりました。
このように、毎日の暮らしも、コロナ前にもどりつつあることが実感されますが、
少しずつではありますが、いじめに関しても、増えてきたように感じられます。
あまりうれしくはないものですが。
さて、6月7日のNHKのNEWS WEBには、
「第三者委が”いじめ認定” 湖西市教育長が生徒の両親に謝罪」というニュースが掲載されました。
4年前の2019年に、静岡県湖西市立中2年の女子生徒が不登校になった問題で、
第三者委員会がいじめがあったと認定しました。
この認定を受けて、6月6日夜に市の教育長が生徒の両親に対し、
「子どもの気持ちに寄り添うことができず長期間苦しませてしまい申し訳ありませんでした」と
謝罪したとのことです。
「部活でいじめで不登校になった」と母親が訴え、
市教委の第三者委員会が、今年の5月に「いじめに該当する行為はあった」と認定していました。
母親は教育委員会に対し、
——–
いじめ問題を学校に任せず、
積極的に介入していじめの芽を摘む市の直轄の部署を作ることや、
関わった教員に対して厳しい処分を行うことなどを求めました。
謝罪を受けたあとで生徒の母親は
「報告書に対し、『説明や謝罪がない』などとする所見を私たちが出したあとに
急に謝罪されても本当に反省しているのかと感じている。
これからは教諭たちにいじめを見過ごすことなく、
子どものことを第一に考えた対応を取ってもらいたい」と話していた
———
と報道されています。
このお母さんの主張は、本当にそのとおりだと思います。
不思議だとしか言いようがありませんが、
なぜか「被害生徒の立場」に立つことをためらってしまう教員や学校がまだまだあるのです。
しかも、その隠蔽を謀った教員、学校を教育委員会がかばうという構造からなかなか抜けきれていません。
いじめを放置したり、隠蔽したりした教師に対しての明確な処罰が必要です。
一方、教育界が多少ですが、変わりつつあることを示すような報道もあります。
6月12日午後2時、神戸市教育委員会のトップ・長田淳教育長らが、
18年前のいじめ被害者らに頭を下げたというものです。
記事によると
この事件に関しては、2020年10月9日の共同通信では次のように報道されています。
———
15年前に神戸市立小で小学5年だった男性(26)が同級生から暴行や恐喝の被害を受けたが、
市教育委員会がいじめと認定していない問題で、
市教委が当時の対応を検証する第三者委員会の設置を決めたことが9日、市教委への取材で分かった。(略)
卒業後、加害側の同級生3人の親に慰謝料の支払いを求めて提訴し、
10年1月にいじめ被害を認定した判決が確定した。
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6月12日のMBSニュースと神戸新聞のネットでの記事を以下に引用いたします。
——–
いじめがあったのは18年前の2005年。
当時、神戸市立の小学5年生だったAさんは、
同級生13人から暴行を受けたり50万円以上を脅し取られたりしました。
いじめを巡っては、裁判所が加害児童全員のいじめを認め、加害児童の1人は謝罪文を送っています。
しかし、神戸市教育委員会は…。
「双方の児童から聞き取りが十分に行えなくなった」
「当時十分な調査が行えず、
いじめ・恐喝があったかどうか当該校も教育委員会事務局も判断できなかった」
これまで一貫して「Aさんから聞き取り調査ができなかった」として
いじめを認めてきませんでした。(略)
こうした中で去年になってある文書の存在が明らかになりました。
これまで教育委員会が『ない』と主張してきた
学校作成のいじめ調査記録が内部で保管されていたことが発覚したのです。
今回の教育委員会の対応を巡って第三者委員会が調査して今年5月に調査結果をまとめました。(略)
教育委員会が調査記録を「隠ぺいして虚偽を重ねた非常に悪質な行為」と認定しました。
この結果を受けても教育委員会は
「調査記録はメモや備忘録の域を出るものではない」として
“公文書として扱っていなかった”と主張していました。(MBSニュース)
報告書では、市教委が昨年まで被害者への聞き取り文書が「ない」と答えてきたことを
「(聞き取りの)資料の秘匿という違法行為を隠蔽するために虚偽答弁を重ね、非常に悪質」と指摘。
長田教育長らは、不適切だったと謝罪したが、故意性は否定した。
(被害者らとの)面談には、当時の担任教諭や教頭も出席した。
報告書は、当初学校がいじめを認める姿勢を見せていたのに市教委が転換させたことや、
転校の妨害について触れているが、
心境や意図を問われても「覚えていない」などと繰り返した。
被害男性は面談を終え、
「誠心誠意の謝罪や再発防止策を期待していたが、こちらの思いとはかけ離れた対応だった。
時間が無駄になった」と切り捨てた。(神戸新聞)
——–
15年前のいじめに関して第三者委員会を設置することを決めたという姿勢からは教育界の変革が感じられます。
しかも第三者委員会が市教委の顔色を窺わずに隠蔽を指摘したことも時流が変わったと言えます。
しかしながら、教育委員会の「謝罪はするが隠蔽を認めない」という態度には怒りさえ覚えます。
被害者が謝罪を受けないという気持ちは当然だと言えます。
「どこかの誰かの名誉を守りたい、組織の体面を守りたい」と思っているのでしょうが、
こんな自己中心的主張、自団体的主張を繰り返して恥ずかしくないのでしょうか。
市教委は「誰が大切なのか」ではなく「何が大切か」ということを考え続けて欲しいのです。
教師や学校が守らなければならないのは「子どもたち」です。
「自分」を守ってばかりでは教育への信用を失わせることだと理解してほしいものです。
6月から夏休みに向かって、更にいじめが起きやすくなると言えます。
ネットが身近になった結果、いじめに無関係な人間が、
SNSに、加害者や、いじめを放置した教師、学校を擁護し、なおかつ被害者を誹謗中傷するような投稿をし、
問題になっています。
6月15日、2021年に旭川市でいじめにより中2の女子生徒が凍死した事件で、
SNSで誹謗中傷を受けた遺族が、損害賠償を求めた訴訟の判決で、旭川地裁は、
加害女性に165万円余りの支払いを命じたという記事が出ています。
夏休みに入る前に、お子さんたちといじめそのものについて話し合ってみていただきたいのですが、
ネットやSNSの使い方についても話し合ってみていただきたいと思います。
保護者の見えないところでいじめは起きるものです。
日頃の態度や言葉遣いなど注意して、はやめに異変に気付けるように心がけてみてください。
何か、ご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明