2023年11月の代表メッセージ

11月の代表メッセージ


☆2023年11月18日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 不登校30万人を考える □■

11月に入って急に寒い日が増えて参りました。
インフルエンザも流行していますので
子どもたち、保護者の皆様も気をつけていただきたいと思います。

いじめ事件で教育委員会の体質が暴露されるような事件が起きています。
11月9日の毎日新聞に
「名古屋市教委、いじめ重大事態の保護者を呼び捨て 発言を謝罪」という記事が掲載されていました。

—–
「重大事態」として対応していた生徒の保護者からの電話に、
名古屋市教育委員会の職員が
「○○(保護者の氏名)からか。じゃあ出ない方がいいな。
担当がいないと言っておいて」
と発言していたことが、関係者への取材で判明した。
電話のやり取りは録音されており、市教委は発言を認め保護者に謝罪した。
(中略)
保護者から相談を受けた市議に指摘され、市教委は保護者に謝罪した。
市教委指導室の小島治彦室長は取材に
「『(その場にいなかった)担当者が対応した方がいい』という趣旨だった。
適切でない言葉遣いで不快な思いをさせたことは申し訳なかった。
職員を指導していく」と話した。
——

「しようもない言い訳」としか言えないような事件です。
日頃から被害者や生徒に対してどのように接しているか、どのように認識しているかが良く分かります。
他人を尊重するという当たり前のことができない教員資格を持った職員がいるのです。
しかも教育委員会の人間ですから
いずれは校長、教頭として現場にも出て行くのでしょう。
こういう先生には教わりたくはないものです。

話はかわりますが、先月のメルマガでもお伝えしたように、
10月4日に文科省が公表した2022年度の調査結果において、
いじめ認知件数が68万1948件となり、
そのうち「重大事態」と認定されたのは923件、
さらに、不登校の小中学生は29万9048人とそれぞれ過去最多となりました。

この調査結果に対して、10月18日には、不登校問題に取り組むNPO団体や専門家の方々が会見し、
「子どもたちの認識に寄り添った調査をしてほしい」と訴えたとの報道がありました。

会見では、
「文科省の調査では、不登校の理由に「いじめ」を挙げたのは学校側の回答で1%にも満たないのに対し、
子どもの回答では25%以上と大きな差があった」と述べられています。

関連する、11月15日の毎日新聞の記事によりますと、
不登校の当事者と家族の実態と思いをまとめたアンケートの調査報告書を、
滋賀県フリースクール等連絡協議会(柴田雅美会長)が公開していることが紹介されています。
昨年11月~今年1月、不登校の子供とその家族にアンケートしたもので、
ホームページ(https://www.shigafs.org/)で公開されています。

記事の内容を簡単にまとめると、
・回答した小中高生75人のうち、「不登校になった年齢」は小学生が76%。特に小学1~3年生が60%。
・自由記述では、子供も保護者も、周囲の偏見や無理解について悲鳴を上げている。
・「不登校のきっかけ」を「先生」とするのが約3割。
・「不登校のきっかけ」(複数回答)で最も多い要因は、
「先生」(合わない、怖い、体罰、不信感など)の23人。
・「友達」「身体不調」「カリキュラムが合わない」が同数の20人。
・「先生が誰かを怒るのを見るのがしんどい」(18人)、「勉強が分からない」(16人)など。
・一方、文科省の調査では、不登校の要因は「無気力、不安」(51%)
▽「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11%)▽「友人関係の問題」(9%)など
原因は「本人」とする回答がほとんど。

私たちのところに「不登校の相談」も届くことがあります。
先日も、何年かぶりでお電話いただいたお母さんから
「息子がIT関連の会社に就職しました。その節は本当に助かりました。ありがとうございました。」
とお話しいただいて、驚くと同時にうれしく感じました。

不登校の相談は、ひとりひとり丁寧な対応が必要であり、一概には解決しないというのが実感です。
それぞれ不登校になる経緯や感じ方がまるで違うのです。
一律にフリースクールに通わせれば良いとは、なかなか言えません。
ただ、いじめが原因で不登校になっている場合は、
加害者が謝罪し、和解できると、次の日から学校に通い始めるという
まるで奇跡が起きたとしか見えないような形で解決にいたることが頻繁に起きます。
これは「いじめ」という明確な原因が判明しているからだと考えられます。

一般的には「不登校の原因」が解消されると学校に復帰しやすいのですが、
不登校になってから何年も経ってしまうと、
本人ですら「何が原因だったかなぁ」と原因のところが遥か彼方、遠い昔の話になてしまい、
原因になったことが解消されていても、簡単には復帰できないことが多くあります。
やはり、本人の「変わらないといけないな」と思う心と
保護者を中心としたサポート、誘導が必要です。
私たちが特に重要だと感じていることは「学習」です。
学習によって、学校に復帰するための「精神力」や「意志力」、
さらにはコツコツと学び続けることで「忍耐力」も培われます。
もう1つの理由として、不登校の期間に学習ができていないと、学校には行けても、
授業中は「ただ何もしないで座っているだけ」という状態になってしまうことがありますので
「なんとなく先生の話している意味がわかる」ぐらいになっている状態を
つくってあげる必要があると考えています。
また、学校に通うようになったあとの学習面でのサポート体制や、
その子に寄り添ってくれるようなシステムのある学校に通うこと、
加えて、学校に相談できる先生がいることも大切な要件だと感じています。

結局、「不登校」という言葉だけで一括りにしないことが大切だと思います。
一人一人に寄り添いながら子供の精神的成長を促していくことが重要ですし、
その要は親であり、保護者であると思います。

さまざまな行事も多い11月ですし、12月も浮かれやすくなる季節です。
何かご心配なことがありました早めにご相談いただきましたら幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

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