1月の代表メッセージ
☆2024年1月16日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 「古い考え方」も大切に □■
2024年最初のメルマガです。
あらためまして、本年もご指導、ご支援のほどをお願い申し上げます。
元旦に発生した「能登半島地震」によって多くの方が被災し、犠牲になられた方もいらっしゃいます。
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
そのような中であっても、9日には、避難所となっている小学校で
始業式が開かれたというニュースも流れておりました。
がんばっている子供たちの姿に感銘を覚えます。
今現在も避難所や車中、さらには倒壊した家屋で懸命に生き抜いておられる皆様の
日常生活が、一刻も早く取り戻されることを祈るばかりです。
2021年4月からGIGAスクール構想によって、本格的に子供たちに端末が配布されるようになって
3年がたたんととしています。
そのような状況で起きるべきして起きたといえるような事件が報道されています。
朝日新聞等によりますと、
昨年末、東京都武蔵野市の市立小学校で複数の男子児童が、
学校から1人1台ずつ配布されているタブレット端末を使い、
女子児童の着替えを盗撮していたというのです。
・昨年12月に、複数の高学年の男子児童が盗撮。
・女子が着替えに使っていた教室に端末を設置し盗撮を繰り返した。
・多数の女子児童が被害にあった。
・盗撮した画像を児童間で共有していた
・所持していた画像は消去した。
・学校側は12月下旬に臨時の保護者会を開催。
子供たちも「何が正しくて、何が悪であり、間違いなのか」ということは、
知識的には知っているはずです。
ですが、善悪は知っていても、衝動をおさえきれず
間違った行動を起こしてしまう子供たちがいます。
ここに現代の教育の問題があるように思えます。
私たちはセミナーや講演を通して、
「人をいじめないと一人一人が決意すれば、いじめなんか起きない」
「だからいじめたくなる気持ちに負けるな」と子供たちに伝えています。
そのような人間に成長していただきたいと心から願っています。
大切なことは、自らの心をコントロールすること、つまり「自制心」です。
確かに「自制心」と聞くと、今どきの人たちは「やや古い」と感じるのではないでしょうか。
この言葉には、「古くさい」というイメージがつきまとっているようです。
しかし、心のままに怒りをぶつけることはトラブルを招きやすいと言えます。
また、喧嘩をしたり相手を怒鳴りつけたりして気分を悪くしてしまう子もいますので、
アメリカでは「アンガー(怒りの)コントロール」を非常に大事にしていると聞きます。
日本でもCAP(Child Assault Prevention 子供への暴行防止)という考え方が導入され、
学校で講義されることもあります。
温故知新ではありませんが、「自制心」の大切さを伝えていくことも大人の役割だと思います。
加えて、教育においては、「個性を尊重する」、「多様な価値観を認め、価値観を押しつけない」
という言葉を耳にします。
文科省が「個性尊重」を掲げてから、すでに40年近く経ちました。
確かに「人権意識」を醸成(じょうせい)するためには大切なことでもあると思います。
ただこのような考え方の底流に
ルールを守る心、「規範意識」の醸成があってこそ、教育は正しい方向に進むのではないでしょうか。
冒頭の児童による盗撮事件だけではありませんが、
個性の尊重や、価値観を押しつけない教育が一人歩きしているように見えてしかたありません。
見方を変えると自己中心主義の肯定となってしまうという懸念があります。
規範意識、ルールを守る心が必要です。さらに自制心や正義感、他人に対する優しさや
思いやりなどの「愛の心」、教えてくれている先生や両親への感謝の心、
間違ったことをした時の反省する心や、謝罪する心などなど、
「古い考え方」の中にもう一度、見直されるべきものがあるのではないでしょうか。
そのベースがあってこその「個性尊重」、「多様な価値観」が生きてくるのではないでしょうか。
「個性尊重」、「多様な価値観を許容する」という考え方だけで育てられてしまうと
自己中心主義、さらにきつい言葉を使うとするならば「動物的属性の尊重」ということになりかねません。
人間として自らの意志により、本来持っている動物的属性をコントロールすることは
教育の目的の一つであるはずです。
私たち保護者も「善いものは良い、悪いものは悪い」という姿勢を保ち、
子供たちの心に自制心を育てていきたいと思います。
まもなく2月ですし、3月が目前に迫っています。
学年が変わったり、卒業する子もいます。
いじめ問題など年度が替わってしまうと解決することが難しくなりやすいものですので、
早めに対処することをおすすめいたします。
何か不安なことや気になることがございましたら、どうぞご相談いただければ幸いです。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明