2024年6月の代表メッセージ

6月の代表メッセージ


☆2024年6月15日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 教師は子ども守って当り前 □■

6月になると思い出すことがあります。
むせるような青臭さの中で、田んぼのあぜ道を歩きながら蛍を追った記憶です。
幸福な小学生時代であり、そこから現在の自分につながっているように思います。
現代に生きる全ての子どもたちが、大人になった時に、
「幸福な時代だったな」と思っていだけるような日本にしたいものです。
そんな蛍の季節も移りかわっていき、沖縄は梅雨の真っ最中であり、
こちらにも梅雨の季節が迫っています。

先日は、障害を持った子どもたちに、
いじめの話をさせていただきました。

小学部と中高生の二度に分けて話したのですが、
小学部の子らに
「いじめってどういうことかわかりますか」と質問をなげかけてみました。
驚いたことに「いじめってこういうことだよね」という反応が少ないのです。
もしかして「いじめって見たことない?」と質問を変えてみると、
大半の子が挙手してくれました。

講演の後で担当の先生に聞いてみると、
「この子たちは小さい頃から一緒で、家族みたいに育ってきたので
いじめにあったことがなくて、そうなるんでしょうね。ケンカみたいなのはあるんですけど」
とのことです。

中高生は事情が違うようで、
中学や高校からこちらの学校に入ってきた子も多く、
その子らの中には、いじめられた経験があり、
いまだに心に深い傷を持っている子もいるようでした。

子どもたちがいじめについて深く考え、
「どんなことがあっても自分はいじめなんかしない」と
決意してくれる子がいたらうれしく思います。

さて、大阪の泉南市の中学生のいじめ自殺がニュースになっています。

5月31日、大阪の泉南市で2022年3月に、中1男子生徒が自殺したことについて、
泉南市の第三者委員会から、
いじめがあったことが認定され、学校側の対応に問題があったとする
調査結果が公表されました。

6月3日のNHKのNEWS WEBは、
「中学生自殺 “信頼関係築けなかった”教育長謝罪 大阪 泉南」と題して報道しています。
記事を以下に引用いたします。
—–
大阪・泉南市でおととし、中学生が自殺したことについて、
市の第三者委員会が
いじめがあり、学校側の対応に問題があったとする調査結果を公表したことを受けて、
3日、泉南市の教育長らが会見し、
「生徒の家庭と十分な信頼関係が築けなかった」などと述べて謝罪しました。
——
同記事によりますと、
——
市が設置した第三者委員会は先週、小学生のときから
「ちび」や「死ね」などの悪口を言われたり、
突き飛ばされてけがをしたりするなど、
10件以上のいじめを受けていたと認定する調査報告書を公表しました。
また、報告書では、
中学生になってから泉南市外の学校への転校を申し出たものの
「転校は市内に限る」と伝えられるなど、
学校側の対応が自殺の要因のひとつとなったと指摘しています。
——-
と伝えられています。

また、フジテレビ系のFNNプライムオンラインによると、
—–
第三者委員会は、同級生らによるいじめを認定したうえで、
教師が被害者の兄に対し、「ニート」などと暴言を吐いたことがいじめにつながり、
学校と家族との関係が徐々に悪化したと指摘。
さらに、教育委員会が市外への転校を認めないなど
「学校や教員への強い不信や敵意が孤立を深め、自死を決意するに至った」と結論づけたのだ。
(中略)
しかし、母親は、報告書に記載されていない不適切な対応もあるとして
「事実を認め家族と向き合ってほしい」と訴えた。
——
と報道されています。

6月3日には、教育長らが会見を行い、
「生徒の家庭と十分な信頼関係が築けなかった」
「当時は最善の対応と考えていたが生徒の気持ちに寄り添った対応ではなく、問題があった」
と謝罪したとのことです。
また市長も会見し、
「市と教育委員会がいじめに対する認識を改め、
連携して速やかに再発防止策を定めたい」と述べたと伝えられています。

しかし、あまりにもひどい対応をしたものです。
しかも、今回、報告書を公表した第三者委員会は、教育委員会が設置した調査委員会ではなく、
市長直轄の第三者委員会だったと言います。

2022年7月には、市長が「教育委員会からの指示で、報告書の受け取りを拒否した」と
大きなニュースになっていました。
当時の関西テレビ「報道ランナー」の特集によると、
1.教育委員会は、男子生徒が亡くなって5カ月近くたっても、詳細な調査を行っていなかった。
2.男子生徒の母親は、「5年前からずっと市の窓口や教育委員会に(いじめを)相談していますが、
結局何もしてくれない。」と話した。
3.泉南市は、「子どもにやさしいまち」の実現を掲げている。
4.母親の相談を受けた「泉南市子どもの権利条例委員会」が、
遺族らと向き合うよう求める報告書を市長へ提出しようとしたが、
教育委員会から「守秘義務違反があるため受け取れない」とする通知。
5.議会からも追及を受けた教育委員会は、いじめの有無を調査する第三者委員会の設置を決めた。
6.その後、市長は「市の顧問弁護士の見解が変わった」として報告書を受け取り、
いじめだけではなく、教育委員会や学校の対応についても調査が必要と、
市長直轄の第三者委員会を別に設置することを決定。
7.結果、教育委員会が設置した第三者委員会と、市長直轄の第三者委員会の2つの調査委員会が
設置されるという異例の事態。

あまりにもお粗末な対応です。
外部からの指摘やマスコミから指摘を受けて、
やっと重い腰を上げたという残念な話で、
しかも、5年にわたっていじめを隠蔽し続け、
その対応に絶望した男子生徒が自殺するという最悪の結果を招くなど、
泉南市としての対応に問題があったと言えます
これで恥ずかしくないのでしょうか。

「子どもにやさしいまち」というスローガンを掲げるのなら、
全職員、全教員が一団となって取り組んでこそ、効果があるはずです。
文書をつくったり、チラシをつくったりはしたのでしょうが、
しかし、実際は口だけだったのでしょう。

子どもたちの悲しみや苦しみに寄り添わないで、
いじめを放置し、いじめを隠蔽し、
さらには、報道にあるように「ニート」などと発言したり、転校を認めなかったりと、
教師自身がいじめのきっかけをつくっています。
いじめに加担したと言えます。
学校や教師が子どもを追い詰める、こんなことが許されて良いわけがありません。

記者会見で形ばかりの謝罪をしたところで、ご遺族には届きません。
最低でも責任を明らかにし、
教員等への懲戒なくして責任を取ったとは言えないのではないでしょうか。

学校においては、教師こそが、子どもたちの守護神です。
「教師が、子どもを守らずして誰が守るんだ」ということを強く言いたいと思います。

こんな事件を聞きたくもないし、見たくもありません。
どうか、お子さんの様子に違和感を覚えましたら、
ご遠慮なく、ご相談下さい。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

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