今月の代表メッセージ

1月の代表メッセージ

☆2025年1月11日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 「人としてあるべき姿」の教育を □■

1月ももはや半ばにせまっており、13日は成人の日です。
遅ればせながら
2025年 明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

すでに学校も始まり、子どもたちが通学しています。
雪を踏みしめて歩く姿がテレビに映りこみ、何か心に迫ってくるものがありました。

私たちは、いじめに対して放置したり、隠蔽したりする先生が、近頃は減っているということを
お伝えしております。
別の言い方をすると、いじめが発生したら、早期に解決する姿勢ができてきているということです。
しかしながら、いじめそのものが減ったわけでもなく、現代は、いじめが蔓延していることは事実です。

昭和時代の1960年代、1970年代、
今から50年、60年も前の時代に小学生、中学生時代を過ごした自分としては、
現代とかなりの違いを感じています。
文科省の国立教育政策研究所が公表している「いじめ追跡調査 2016-2018」によると、
小4から中3までの6年間に
9割の子がいじめられた経験があるといいます。
さらに、9割の子がいじめをした経験あるという、目を疑いたくなる結果となっています。
この状態は、絶対に正常ではありません。
日本の教育システムの危機と言わざるを得ません。

何かが失われてしまったのではないでしょうか。
あるいは、何か大切なものを捨ててしまったのではないでしょうか。
何人かの教育者や政治家の方が、
「日本の教育がおかしくなったのは『まんが日本昔ばなし』(※)というアニメを放送しなくなったからだ」
と話しておられるのを聞いたことがあります。
これは極端な議論のようにも見えますが、まんがの中に日本の教育で失われてしまったものが
詰まっていたように思います。
その失われたものとは「おおやけの心」、公共心だと思うのです。
社会や公共のために尽くさんとする心であり、それには人格の醸成が必要です。

今思えば、小中では、素晴らしい教師に見守られながら育ったように思います。
その中の一人、中学の社会の先生は、戦争に行った経験のあるおじいちゃん先生でした。
たまに叱られたものですが、その時の怒声は、全員を震え上がらせる迫力がありました。
でも、その先生の授業は、楽しく、目を輝かせながら聞き入るほどに生徒を引きつけてやみませんでした。
その魅力ある授業の中身ですが、授業時間の8割は雑談です。
ご自身が経験したことや考えたことをとりとめもなく話し続けていました。
「こんな授業で良いのかなぁ。大丈夫なのかなぁ」とやや不安を感じていたものですが、
高校受験には何の問題もありませんでした。
県内のトップクラスの高校に何人も合格しておりましたので、
雑談8割でも、押さえるところは押さえて教えてくださっていたのでしょう。
今、この年齢になってあらためて振り返ってみると、
雑談ではあっても毎時間、毎時間違う話を何年も続けるには、相応の努力が必要だと分かります。
そのおじいちゃん先生が我々に教えようとしていたのは
「人としてのあるべき姿」だったのではないかと推察できる年齢になりました。
どのような雑談だったのか記憶には残っておりませんが、
「教育」にかける熱意、情熱を持ち続け、生徒の将来に期待してくれていたように思います。
感謝しかありません。

公共心を持ち、「人として生きていく」には社会性を持った生き方が必要不可欠だと思います。
「道徳教育」や「人格教育」という言葉も耳にしますが、「いじめ」が蔓延している学校が、
人としての生き方の教育、道徳ができているとはとても言えないのではないかと思います。

昔の時代劇には「天知る、地知る、人ぞ知る」という決めゼリフが出てくるドラマがありました。
中国の故事からきている言葉ですが、
「誰も知るまいと思っても天も地も知っており、私もあなたもそれを知っている。
知るまいと思われることでも必ず誰かが知っている。
不正・悪事はいつかは必ず露顕するものだ」という意味です。
「天が見ている」、「神様が見ている」、「ご先祖様が見ている」、「自分には嘘をつけない」
こんな言葉が身近にあった時代、その時代にも「いじめ」はありましたが、
ここまで蔓延することはなかったのです。

いじめをする心は
「自分さえ良ければ良いし、人が泣こうが、苦しもうが関係ない。
いじめは楽しいし、面白い」というものでしょう。
こんな考え方が拡がって、社会が良くなることはないはずです。
古い価値観だと言う方もいらっしゃることと思いますが、
古くても大切な考え方は語り継ぎ、学校教育だけでなく社会全体で、
子どもたちに教えていく必要があるように思います。

2025年が幕を開けました。
昨年末には、青森県の八戸市において、「いじめ防止対策推進条例案」が市議会に提案され、
可決されましたと議員の先生から連絡いただきました。
子どもたちを守る行動を起こされている方々が全国にいると実感しています。
私たちも子どもたちの未来のために、一歩でも進めていけたらと思います。

3月には春休みに入ってしまいます。もう間もなくです。
いじめ問題は、学年をまたぐと解決することが難しくなります。
何か気になることがありましたら、早めにご相談していただけたら幸いです。

※「まんが日本昔ばなし」は、1975年にはじまり1994年まで続いていたアニメです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

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