7月の代表メッセージ
☆2024年7月13日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 「旭川市のいじめ自殺」をくり返さないために □■
梅雨の合間が暑すぎてびっくりしてしまいます。
今朝には、その梅雨もまもなく明けるという天気予報が流れていました。
梅雨が明けると子どもたちには夏休みが訪れます。
楽しくも充実した夏休みが過ごせることを祈りたいものです。
さて、NHKの「北海道 NEWS WEB」に、
中2の女子生徒が2021年3月に旭川市の公園で凍死したいじめ自殺事件の続報が報道されています。
2024年6月30日に、市長が主導した再調査委員会による報告書の概要版が公表されたという内容です。
事件当時から何度も報道されてきた痛ましい事件ですが、
「自殺はいじめが原因」と再調査で認められました。
この報告書によって、次の段階に移ることができることを祈りたいと思います。
まずは、再調査委員会が設置されるまでの経緯を再確認しておきたいと思います。
性的ないじめを含めて、日頃からいじめを受けていた被害生徒は、
2019年6月、川に入って自殺未遂。
その場には加害者生徒もいたことがわかっています。
その後、転校したものの、2021年3月、公園で凍死しているのが発見されました。
地元紙や文春に大きく扱われたことで事件が全国に知られました。
翌月の4月、教育委員会による第三者委員会が調査を開始。
2022年9月に調査報告書が公表され、
・菓子や飲み物の代金を頻繁におごらせた。
・性的な動画送信を求める。
等のいじめが認定されました。
しかし、死亡といじめとの関係性について認めず、
「不十分」だとする遺族側の申し立てを受け、市長が再調査を決定し、
今回の再調査委員会の報告につながりました。
NHKの報道を引用しながら再調査委員会の報告書のポイントを以下にまとめてみます。
——
1)性的いじめも含めて、7件の行為をいじめと認定。
2)死亡といじめの関係性を認定。SNS分析も駆使。
生前、SNSに「死ぬ」とか「怖い」といったことばを繰り返し投稿し、
行方が分からなくなる直前には「今日死のうと思う」などと投稿。
再調査委員会は「いじめ被害が過去のものとならず、継続して苦しみ、
死にたいという思いが何度も湧き出る中で死を決意した」として
女子生徒が自殺で亡くなったという見解を示し、
女子生徒がPTSD=心的外傷後ストレス障害を発症し自殺に至るまで症状は軽減することなく、
トラウマに苦しみ自尊感情の著しい低下なども続いたと指摘し、
「いじめにあわなければ自殺は起こらなかった」と結論づけました。
3)中学校・市教委は、法にのっとった対応を怠った。
市教育委員会も「むしろいじめの問題とはしないことを意図していた」として、
学校への指導や助言を怠ったと指摘しています。
4)尾木委員長の会見内容。
委員長の教育評論家の尾木直樹氏は、記者会見で
「いじめのトラウマやフラッシュバックなどがずっと尾を引いて
長期間にわたり彼女を苦しめていたことがつぶさに分かる」と振り返りました。
遺族側の代理人を務める弁護士は「画期的な調査結果」と内容を評価した上で、
「今後のいじめ調査の基本的なあり方と新たな方向性を示すものだ」というコメントを出しています。
——
あろうことか「むしろいじめの問題とはしないことを意図していた」
という教育委員会の姿勢には驚くばかりです。
こんなことが、あってはなりません。
この旭川のいじめ事件で、校長、教頭らが「いじめではない」と主張し続けていたことが
大きな問題として取り上げられていたことを覚えていらっしゃると思います。
それに加え教育委員会までもが、
「いじめは無かった」という結論ありきで、対応したということが明確になったのです。
教育委員会が「いじめの隠蔽」を主導していたなどということは、日本の教育界の恥と言えます。
ご遺族が弁護士を通してメッセージを出しています。
朝日新聞デジタルから引用いたします。
—–
本当に大変な調査をしてくださった再調査委員のみなさん、
再調査を決断してくださった旭川市長、再調査を支えてくださった旭川市民のみなさん、
そして温かい支援の手を差し伸べてくださった全国の皆さんに、心から感謝を申し上げたいと思います。(略)
市長の決断なしに今回の調査結果はなかったと感謝しています。(略)
寄り添った調査をしてくれている、そう思えました。なので、弁護士のアドバイスを受けて、
膨大な量のメッセージを集めて再調査のためすべて提出することにしました。
医療情報も同じように、前回の調査では控えたものを含めて、すべての資料を提供しました。
今回、このような調査結果を頂くことができたのは、再調査委員会のみなさんのおかげであると同時に、
再調査を決断してくださった市長、支持してくださった市民の皆さんのおかげだと受け止めています。
そして、全国からお寄せいただいた支援のおかげで、新たな資料を発見することができました。
—–
辛い事件です。何よりも助けられるポイントが何度もあったのに、
その機会をのがしてしまったことに対して多くの人が悔しさや憤りを感じた事件だと思います。
旭川市教委や当時の校長など、いじめの隠蔽を意図した者には厳しい懲戒があってしかるべきですし、
なにより、いじめに関して教職員の懲戒処分の法制化を進めなくてはならないと思います。
まもなく、夏休みに入りますが、保護者の目の届かないところでいじめが起きないように
私たち保護者は、子どもたちの日常に心を配ってまいりたいと思います。
なにか気にかかるようなことがありましたら、どうぞご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明