2019年6月の代表メッセージ

6月の代表メッセージ

☆2019年6月7日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 子供たちのひきこもり「不登校」 □■

例年と異なり、6月に入っても真夏のような暑い毎日が続いておりましたが、
こちらでも梅雨の発表がありました。
天候も不安な感じですが、このところ子供たちが、何度もつらい事件に巻きこまれ
日本中の人が心を痛めて、あたかも梅雨空のような状況にあります。

特に、事件にひきこもり状態にあった人間が関係していたことが発覚し、
根本厚生労働大臣が
「事実関係が明らかではないが、安易にひきこもりなどと結び付けるのは慎むべきだ」、
「ひきこもりの状態にある人への対策としては、個人の状況に寄り添い、
きめ細かく支援しながら、社会とのつながりを回復していくことが重要。
本人や家族に、都道府県などのひきこもり地域支援センターや地域の自立支援窓口などに相談してほしい」と
呼びかけを行ったほどです。

このひきこもりの現状ですが、
内閣府が3月29日に公表した調査結果によると、
15歳~39歳のひきこもり状態の推計が54万1000人、
40~64歳の中高年の推計数が61万3000人となったといいます。
さらにその半数が5年以上の長期に渡り、また4分の3は男性であるとの内容でした。
結局、100万人を超える人がひきこもり状態にあるのが日本の現状です。

児童、生徒であればひきこもりは当然ながら不登校ということになります。
昨年末の発表では、全国の不登校の人数は小学校が3万5032人、中学校10万8999人の
合計14万4031人です。この数字は年間30日以上、欠席した子の数です。
しかも、日本財団の試算によると、保健室登校をしたり、遅刻や早退が多かったりする不登校予備軍は、
中学生だけでも約33万人という数字があげられています。

この不登校に関して、先月の5月末にNHKから興味深い調査結果が発表されています。
NHKでは、無料通信アプリLINEを通じて、昨年度、中学生だったおよそ1万8000人を対象にアンケートを行い、
全国で不登校になっている中学生370人余りからその原因を聞いたとのことです。
複数回答可ではありますが、その結果は、
「クラス全体の空気がイヤ」が44%
「学校の勉強についての悩み」が36%、
「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が29%、
「先生との関係についての悩み」が23%、
「いじめを受けた」が21%、
「決まりや校則になじめない」が21%
となっています。
全体としてはかなり似てはいる傾向が出ているのですが、
平成29年度の文部科学省の調査における不登校の理由として、
「教職員との関係」については2.2%、
「いじめ」は0.4%、
「学校の決まりなど」は3.5%となっており
この3点については全く違う数字が出てきています。

つまり、NHKの調査では5人に1人は「いじめが原因だ」と本人が考えているということです。
結局、14万人のうち3万人はいじめが原因で不登校になっている可能性があるのです。
さらにNHKによると、文部科学省の松木生徒指導室長のコメントとして
「子どもたちが、先生や親などに本当の悩みを打ち明けられない状況があるのではないか。
子どものSOSを見逃さないように、スクールカウンセラーの配置や、
SNSなどの多様な手段で相談体制を充実させていきたい」と紹介されています。
このコメントから、
NHKの調査結果の方が実態に近いことを文科省も暗に認めているのだと感じられます。
実際に受ける相談案件からも、いじめによる不登校はかなりの数に登るという感触を持っています。

不登校予備軍や不登校の子供たちを減らし、安心して勉強に励むことができるようにするためには、
いじめを早期に解決することが大きな鍵だと言えます。
いじめを放置するから子供たちは傷つき、不登校になってしまうのです。
いじめは早期に対処すれば、解決できます。
私たちにアドバイスをくださる先生方の中には、
「ちゃんと対応すれば、基本、いじめは一日で解決できるんですよ」と述べる方が多くいらっしゃいます。
早期解決ができれば、不登校にならずにすむのです。

今年の3月にはこのようなニュースも流れました。
2017年4月の長崎市の私立高2年の男子生徒の自殺を
「いじめ」が原因とした第三者委員会の報告を学校側が拒否し、
それどころか、遺族に「突然死したことにした方が良いかもしれない」とか、
「転校したことにもできる」などと持ちかけていたという内容です。
学校や教師が、こんな恥ずかしい対応をしている場合ではないのです。
日本のひきこもりの問題がクローズアップされていますが、
その問題の奥に教育行政の問題、子供たちとの関わり方の未熟さが隠れているのだと思います。
ぜひ、子供たちを正しい方向に導くためにも、
大人である私たち、そして何より教師が、
まずは「嘘をつかない」という姿勢を示すことが第一歩だと思います。
子供たちに道徳の授業をする以前の問題として、
教師に対する道徳の授業が必要であり、
文科省は教師のモラルの向上に努めていただきたいものです。

社会的な不安もある中で、子供たちを見守ることは大変なことだと思います。
不安なことや疑問などありましたら、精一杯、お応えしたいと思いますので
ご遠慮無く、ご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


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