2019年8月の代表メッセージ

8月の代表メッセージ

☆2019年8月2日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 管理職は、一段と重い厳罰に処すべき □■

いきなりの猛暑になって、身体が驚いているようにも感じます。
お祭りや花火大会を楽しむのにはいいのかもしれませんが。

夏休みに入った7月31日に、
4月に行われた全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果が公表されました。
都道府県別の平均正答率では、秋田や福井、石川などが上位を占めましたが、
英語においては、東京、神奈川などの首都圏が上位に入っています。
英語のテストは、今回が初めて実施され、中3生に「読む・聞く・書く・話す」についてテストが行われました。
英語正答率は「読む」が56.2%、
「聞く」が68.3%、
「書く」が46.4%、
「話す」が30.8%となったとのこと。
報道によると「話す」では2人の会話を聞き、即興で質問する問題の正答率が10.5%と低かったことや
「書く」においては学校を示すピクトグラムを見て、
どちらが良いか25語以上で自分の考えを書く問題の正答率は1.9%だったとされています。

今後の課題も出てきましたが、子供たちが、学力を伸ばすためには、安心して学べる環境が必要です。
いじめられるとそれまで頑張っていた勉強への意欲が失われ、
進学にも影響することになります。
子供たちがどのような学校生活を送ることができるのか、その要は
「先生との出会い」にあると思っています。

2015年、茨城県取手市の中3女子生徒が「いじめられたくない」と書き残したいじめ自殺事件で、
当時の学校や市の教育委員会の対応に問題があったとして、7月25日に関係者9人の処分が発表されました。
処分内容については以下のように報道されています。
自殺を誘発する不適切な指導を行ったなどとして、担任を停職1か月、
校長に対しては自殺後の対応に問題があったとして、給与の10分の1を12か月減給。
市教委の教育参事と指導課長を給与の10分の1を12か月減給。
部長を給与の10分の1を6か月減給。
辞任した矢作元教育長は、在職時の給与の10分の1、12か月分を自主返納。

この事件では、取手市教委は、学校がいじめによる自殺の疑いがある「重大事態」としていたのに、
市教委で「いじめによる重大事態ではない」と決議し、しかもそのことを遺族に伝えてもいなかったと言います。
また、ご遺族の意向を受けて第三者委員会を設置しましたが、
その委員会でも「いじめはなかった」の前提でなにもしないまま時間だけが過ぎてゆく中で、
ご遺族が文科省に「取手市の第三者委員会による調査の中止」を要請されました。
文科省は、取手市教委の担当者を呼び、聞き取り調査を行い、
その結果、取手市教委は調査の見直しを検討し、ご遺族に謝罪したのです。

担任に対して、「停職1か月」という懲戒処分は、いじめ事件としては大きな決断だと思います。
しかし、事件の流れを見る限り、組織としてのあり方に大きな問題を抱えているように思います。
この事件の対応は、明らかに「意図した隠蔽」です。
したがって、「担任」より更に重い処分を管理職、教育委員会に課すべきです。
自分たちで、「自分に甘い処分」をするとはなんとも情けない組織であろうかと感じます。

私たちのところに来る相談の中でも、茨城県は、いじめを解決しにくい県の一つです。
それは学校、教育委員会が
「いじめではない」
「加害者の人権もあるので、簡単には叱れません」
「いじめられる側にも問題があります」
「いじめ防止対策推進法はよくわかりません」
などなど、いじめ被害者を貶(おとし)める言葉を保護者に投げかける事例に出会うことが多いからなのです。
県教委、各市教委に何かしらの共通の隠蔽意識があるようにしか感じられません。
このままで良い訳がありません。
私たちは「いじめの放置、いじめへの加担、いじめ隠蔽をした教師を懲戒処分とする」ということを
「いじめ防止対策推進法」に明記すべきだと訴えておりますが、
加えて「管理職には一般の教員よりも一段と重い厳罰」を科すべきだということも
法制化すべきです。

昔から教師は「聖職」と言われてきました。
子供たちにその言葉や行動、そして思いを見られても
「恥ずかしくない」ものでなくてはなりませんし、
「先生のような人間になりたい」と思わせるような「あこがれの存在」であり続けていただきたいものです。
それには、自らに厳しい姿勢、責任を取る姿勢が不可欠なのです。

夏休みのここ1か月、いじめられていた子供たちは、家族に守られて生活できます。
この期間にぜひとも精神的にも回復し、新学期を迎えて欲しいと思います。
また、保護者としては、学校が始まる前後は、特にお子さんの様子に気を配ってみてあげていただきたいと思います。
不安なことやご質問がありましたら、ご遠慮無くご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


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