2020年4月の代表メッセージ

4月の代表メッセージ

☆2020年4月16日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 子供たちに学びのチャンスを □■

長い長い春休みが続いている学校が数多くあります。
いじめの相談もかなり少なくなっています。
そのような中でもいじめ関連のニュースはいくつか出ています。

京都新聞によると、滋賀県の立命館守山中の元男子生徒(15)が、
中1の時にいじめで不登校になり、学校が第三者委員会を設置する
方針であることが13日わかったと報道されています。
今春、生徒はすでに卒業しています。対応が遅すぎたと言えます。
当時、保護者が、教師に相談したが状況は改善せず、
中1の2学期から不登校になってしまいました。
保護者がその後、学年主任に対し、いじめに対応するよう申し出ると
「調べてみます」と返答されたが、
何も変わらずに調査結果も知らされることはなかったとのこと。
結局、保護者が昨年、中3の6月に、滋賀県総務課に相談し、
学校は、県から相談記録の交付を受けた後、
12月に保護者に第三者委員会を立ち上げることになったことを伝えています。

公立の学校では、「教育委員会」という組織が上位にあり、
学校が対応してくれない場合に教育委員会に相談するという道があります。
しかし、私立の学校の場合、都道府県の私学の担当部署に相談しても、
ほとんど何もしてくれないことが多いというのが現状です。
私学では「生徒のことよりも学校の評判の方が大事だ、隠蔽しよう」
と考える学校が多く、そのことを正せる仕組みも脆弱です。
今回のケースのように県の総務課が動いてくれるケースの方が
珍しいといえる程です。
私学のいじめ問題への対応では、対処が適切で早期に解決する学校と、
泣き寝入りせざるを得ないような隠蔽工作をする学校の両極端の
対応になるケースが跡を絶ちません。
先生方には教師としての自覚と誇りをもって、いじめを隠蔽せずに、
いじめ等の諸問題に、積極的に取り組むことによって
子供たちを守っていただくようにお願いしたいと思います。

先生方に頑張っていただきたいところですが、
現在、休校が続いている学校が6割にも登っています。
4月13日 のNHKの報道では、文科省が10日までにとりまとめたところ、
新学期からの学校再開は全体の約4割、38%に
とどまることが判明したといいます。国立30%、公立36%、私立49%しか
学校を再開できません。今後、更に新型コロナウイルスの感染が
広がり緊急事態宣言をする地域が増えると
ますます増えることも考えられます。
ちなみに、大学等では、国立大学90.7%、公立大学85.4%、
私立大学85.2%、高等専門学校85.5%が、授業を延期しています。
ほとんどということです。

新型コロナウイルスのワクチンの開発が期待されておりますが、
開発までには早くても一年半程度の期間を要するとする記事も見かけます。
子供たちの将来、そしてこの子たちが大人になって社会を支えるように
なる世代のことを考えると、どうしても学習環境は必要です。
このままでは大半の生徒が「不登校児童生徒」という扱いになりかねません。
日本が現在まで発展してきた大きな理由は「教育」にあります。
知識教育は、教育の基礎の部分です。
文科省には、国としての責任を担うことを期待したいものです。

かなり以前になりますが、「知的生活の方法」という著作で知られる
渡部昇一先生が、「義務教育の到達目標に達しさえすれば塾だけでいい」と
発言されていたと記憶しております。
塾での学習を、学校での履修に充当することを文科省は
認めても良いのではないでしょうか。
あるいは、「高等学校卒業程度認定試験」と同様に
義務教育の修了認定試験を検討することも必要になるかもしれません。

新型コロナ対策で自粛している塾も多いと思いますので、
これだけでは不足でしょう。
2016年12月に「教育機会確保法」が制定されましたが、
制定前には、家庭学習、ホームスクーリングを認めるかどうか
という議論がありました。最終的には、法制化になりませんでしたが、
この時期ですから、家庭での学習も、同様に履修認定をするように
してあげて欲しいものです。

またテレワークが推奨され自宅でお仕事をされている方も多くなっています。
子供たちにもテレワーク、つまり、IT学習を推進し履修を認めても
良いのではないかと思うのです。
大手進学塾では何年も前から遠隔授業を取り入れておりますし、
YouTube等のネットを使った授業の試みをされている先生も
いらっしゃいます。
この際、文科省は地上波のテレビを使って全国ネットで
授業をするというのはいかがでしょう。
幸いにして、日本には学習指導要領もありますので、
緊急事態においては全国一律の授業になっても許されるのではないでしょうか。

このような子供たちが学べる環境を、文科省主導で、
整えて頂きたいと思いますが、現実には時間がかかると思われます。
つらい時期ではあります。このような時間を大切にして
ご家庭の中で知識的教育とともに心の大切さ、考え方の大切さを
子供たちに伝えていただきたいと思います。
学校でいじめが蔓延している現状を見れば、
「こころ」の教育が足りていないのです。
50年前の私たちの年代では「人をだませても神様は見てる」とか
「自分の心には嘘をつけない」、「悪いことをしたら地獄におちるぞ」など
とよく叱られたものですが、
このよう道徳観に底にある家族の絆の大切さ、仲良くする、
うそをつかない、約束を守る、だまさない、思いやること、
人を信じることなどのごくごく当たり前の価値観を取り戻すことで、
いじめる心を減らすことができると考えています。

休校中の学校が多くありますが、まだまだいじめは起きています。
何か不安なことがございましたら、ご遠慮なくご相談ください。
精一杯、お答えできるように努めさせていただきます。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明


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