2022年3月の代表メッセージ

3月の代表メッセージ


☆2022年3月18日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 教師は「いじめだ」と認める勇気を □■

気温も上がりはじめ、春らしくなって参りました。
桜も咲き始めています。
テレビのチャンネルを切り替えるたびに桜の話題が耳に入ってきます。

先月も述べましたが、学年末を迎えたこの時期は、
いじめ解決を学校がいやがったり、生徒が卒業したり、春休みだったりと、
いじめの解決には困難な壁が待ち受けています。

そのような中、3月15日に、
いじめは「ポピュラーな遊び」であるとし、いじめを放置したという学校のニュースが入ってきました。
Yahooに掲載された読売新聞の記事によりますと、
昨年12月15日、仙台市の小1の男子が、
給食の時間内に食べ終わらなかったために、昼休みに給食を食べていたところ、
同級生にトイレへ連れて行かれ、8人から殴ったり蹴られたりされたといいます。
その結果、「全身打撲」、「急性ストレス反応疑い」として
全治4週間の診断を受けたという事件がおきてしまいました。
事件翌日から、児童は不登校になり現在も続いています。

保護者が学校に調査するように求めたところ、
学校側はいじめを否定し、
「ポピュラーな遊びだった」、「加害者側もたたかれた」と発言したとあります。
被害者だって身を守るためには抵抗します。当たり前です。
それを加害者と同列として良いわけがありませんし、
殴る、蹴るを「遊び」ということ自体、異常な言動です。
保護者が話し合いを求め、やっと今年の3月4日に市教委と話し合うことができました。
市教委は「いじめがあったという前提で、学校内で詳しい状況を確認している」とし、
重大事態として第三者を含む「いじめ調査委員会」を学校に設け、調査することが決まったと報道されています。

組織の体質が変わるということは難しいことなのだと、つくづく感じた事件です。
仙台では、かつていじめによる自殺が相次いで、大きな問題になりました。
2014年9月、仙台市泉区で中1男子生徒が自殺、この事件では亡くなった後、
学校が、同級生に「転校した」と虚偽の説明していたことが判明しています。
2016年2月、泉区の中2男子が自宅で自殺、亡くなった後、教師が同級生を訪問して、
男子からのいじめに関するLINEの会話を、その場で削除させていました。
2017年4月、青葉区の中2男子がいじめによりマンションから飛び降り自殺していますし、
この被害者に対して教師が体罰を行っていたことも判明しました。
さらに2018年11月、泉区では小学2年女子のいじめを苦にした母子心中事件、
仙台市ではないのですが亘理町(わたりちょう)でも、
2019年3月に中2男子の自宅での自殺と続いてきました。
私たちのところに届いたいじめ相談でも、
「仙台市がいじめを認めない」という訴えに、何度も出会ってまいりました。

宮城県や仙台市のここ数年のいじめの認知件数を見てみると、
極端に少ない数字を報告するようなことはしていないようなので、
いじめに対する認識や対応も良い方向に変わったのだろうと勝手に推測しておりました。
しかし、今回の事件の学校の対応を見る限り、
仙台市はまだまだ変わりきれていないことがよくわかります。
長年に染み付いてしまった悪しき習慣が、
ずいぶんと深いところまで食い込んでしまっているように見えます。

教師は、いじめから目をそらさずに、
「それはいじめだ」として認める勇気を持ちなさいと言いたいのです。
「『いじめ』でなければ対応しなくても良い」という
自己保身に満ち満ちた考えで子供たちに応対していて
本当に教育ができると考えているのでしょうか。
教育者としての自己を放棄しているようにしか見えません。

いじめでなくても、子供たちが悩んだり、苦しんでいるならは、
「助けたい」、「力になってあげたい」と思うのが人間としての気持ちではないでしょうか。
ましてや「教育者」であるならば放置して良いわけがありません。
宮城県のすべての教員がひどい人間ではないと信じています。
しかし、これだけ続けて事件があり、
義家弘介議員が文科副大臣のときには、直接仙台市長や仙台市教育長を指導したり、
文科省からも何度も対応のための職員が派遣されたりしたはずです。
組織としての「病」が隠れているのではないでしょうか。
あまりにも残念です。

宮城県知事、仙台市長はリーダーシップを発揮すべきです。
出発点は「考え方」にあります。
教師の考え方そのものの変革にアプローチしなければ
このいじめ問題の解決力、対応力の向上は難しいのではないかと思います。
子供たちにとって学校が「希望」であり「夢」に向かう重要な足場であることは間違いありません。
「希望」や「夢」を奪う場ではなく、「与える場」としての実績を示していただきたいと思います。

もうすく春休みです。
もうすでに卒業式を終えた子も多いことと思います。
新しい学校、新しい学年に臨むにあたり、しっかりと子供たちの心を休ませてあげたいと思います。
不安を抱えている子もいるかも知れません。
なにか不安なことがございましたら、ご遠慮無くご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

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