9月の代表メッセージ
☆2024年9月19日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 9月1日の始業式自殺について □■
暑い日が続いております。
テレビの天気予報は「異常気象だ」と述べておりましたが、
日も短くなり、秋の様相が深まると共に、少し涼しくなってきているようです。
子どもたちも文化祭や体育祭など慌ただしい日が巡ってきていることだと思います。
9月10日から16日までは「自殺予防週間」でした。
自殺対策基本法では、「9月10日から9月16日までを「自殺予防週間」と位置付け、
国及び地方公共団体は、啓発活動を広く展開するものとし、
それにふさわしい事業を実施するよう努めるもの」とされています。
例年、9月1日は、自殺する子どもたちが一番多くなる日と言われています。
近年は始業式の日が9月1日でない学校も多くなっていますが、
夏休みが終わり、学校に登校する日ということです。
報道されないところで亡くなっていることもあるのかもしれませんが、
新聞やテレビニュースを見る限りですが、今年の始業式前後、子どもたちの自殺報道は
かなり少ないという印象を受けています。
あくまでも憶測にすぎませんが、
コロナ禍においてオンライン授業や隔日登校がひろがったことが影響しているのではないかと思います。
簡単に言えば「学校に行かなくても良いんだ」という価値観が広がったと思えるのです。
学校に行かなくて良いなら、「死ぬ」必要もなくなったのではないでしょうか。
「学校に行かなくてはならない」という周囲からの強いプレッシャー、
さらには自分自身の「ねばならない」という強いストレスが大きく減退したのでしょう。
ただ、始業式前後の自殺は少なくなったように見えますが、
昨年の自殺者数の結果を見ますと、小中高生の自殺者数は507人とかなり多くなっていますので、
何らかの対策は必要だと思います。
また、一方では、不登校生徒は確実に増えています。
昨年の秋、2023年10月4日に文科省は、
小中学校における不登校児童生徒数が過去最多の29万9048人(前年度は24万4940人)となり、
前年度比で22.1%増加したと公表しました。
不登校30万人時代に入ったとみられます。
この状況は、コロナ禍を経験した子どもたちが卒業するまでは続くと考えられます。
ここで改めて「いじめ自殺」について考えてみたいと思います。
私たちのところに寄せられる相談を振り返ってみますと、
いじめを受けた子らが自殺を考える理由として
大きくは3つの理由があるように思います。
1. ただただ、逃げ出したい。
2. 自分なんかいない方が良いんだ。
3. あいつらに復讐したい。
意外に、多いのは「ただただ、逃げ出したい」という子どもたちではないでしょうか。
いじめられている毎日、こんな日から抜け出したいと感じる子が、多いように思います。
その時は、亡くなった後のことは何も考えられません。
親やきょうだい、友だちの悲しみやつらさなどよりも逃げ出すことが最優先になってしまいます。
こんな子たちには、学校に行かないという選択肢を伝えることも重要だと思っています。
次の「自分なんか」という子どもたちに接するのは、とてもつらいものです。
「自分がいじめられるのは、自分がおかしいからなんだ。
自分がいなくなればクラスも良くなるし、いじめている子は喜ぶし、
親だって、自分がいない方が楽になるんだ」
泣きながらもこんな主張をしてくる子がいます。
自己を否定し、自分自身の存在意義、自尊心を失ってしまった子どもたち。
この子たちに「生きる自信」をとり戻させてあげるのは周囲の大人の責任であり義務だと思います。
まずは、いじめのない環境をつくってあげて、さらには「あなたは悪くないよ」と教え、
優しい言葉や、その子の良いところを認めてあげる、小さな小さな積み重ねが必要です。
そこから「自分は愛されている」ことを認識し、生きる自信が培われて、学校や社会に復帰していきます。
そして、次には「自分が死ぬことで復讐になる」と考える子が出てきます。
特に、自殺した子がニュースで大きくとりあげられる後に、連鎖自殺が起きる場合は
注意しなくてはならないと思います。
自分では、加害者にやり返せないけれど、
「自殺して新聞に載れば、加害者を誰かが罰してくれる」と考えてしまうのです。
そんなことを訴えてくる子も現実にいます。
その子らに対しては
「自殺しても、加害者は死刑になるわけでもない。
叱られるだろうけど、普通に学校を卒業して高校に行き大学にも行く。損じゃないかな?
それに、君が死んだらおとうさんとかおかあさんはなんて思う? 友だちは?」
「みんな泣くと思う」
「じゃあ、まず今日、ここに相談したことを親に話してみようよ。力になってくれるよ。
自分で話すのがつらかったら、私が話してもよいよ。
親に言うのがいやなら、学校に直接電話するよ」
このような説得を試みています。
その後、何度も電話で話しながら、サポートしていきます。
いじめは苦しいものです。
でも、子どもたちにはそこから脱出し、新しい未来を切り開いていってもらいたいと願っています。
秋です。
実りの秋、食欲の秋、運動の秋、文化の秋。
秋にまつわる良い思い出をつくる季節です。
子どもたちの成長を守ってまいりたいと思います。
何か、気にかかることがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明