9月の代表メッセージ
☆2025年9月18日☆
[いじめから子供を守ろう メールマガジン]
◇ 代表メッセージ ◇
■□ 何かがおかしい、卑怯者にならないために。旭川いじめ自殺事件関連報道 □■
まだまだ暑さが続いておりますが、
夜道には、秋の虫の声が響き、秋を感じさせてくれています。
8月24日、共同通信は、2021年の旭川市の中学2女子のいじめ自殺事件に
関連した報道をしています。
被害生徒の元校長が24日、同市で開かれた集会に出席し、対談形式で意見を述べたと伝えられています。
元校長は、いじめと自殺に因果関係があるとした再調査委員会の認定には、
「事実誤認がある」とし、さらに
「事件が報道された後、自身や教員のほか、加害者とされた生徒も過剰な報道や中傷の被害に遭った」と
主張しています。
この自殺事件については、一度、第三者委員会から調査報告がなされましたが、
その後、再調査委員会が設けられ、2024年6月には、
「いじめが自殺の主な原因」とする報告書が公表されています。
現在、ご遺族は学校などが「いじめから目を背けて責任転嫁し、漫然と放置した」などとし、
旭川市に対して、約1億1000万円の損害賠償を求めています。
5ヶ月前の3月にも、元校長は「適切に対応していた」と話していました。
当時のHBC北海道放送の報道を引用しつつ、簡略化して紹介します。
——–
4年前、北海道旭川市でいじめを受けていた女子中学生が自殺した問題で、
当時通っていた中学校の元校長が、HBCの取材に応じ、
「学校は適切に対応していた」と主張しました。
「全くの濡れ衣と、とらえている」
と主張するのは当時、通っていた中学校の元校長です。
「学校は生徒さんを救おうと思って一生懸命やっていた。学校は適切に対応していた」
当初、この問題を調査した旭川市教委の第三者委員会は学校の対応について
「組織的な体制に問題があった」と指摘。
また、その後に設置された市長直属の再調査委員会も
「いじめへの対処を怠った」と報告していますが、元校長は、各委員会の結論に反論します。
(元校長)
「組織的に対応してますよ。隠蔽なんかしてませんし、実際に生徒に調べて聞いている」
「(第三者委の)報告書でいじめの事実が6件認定されているが、その6件ほとんど学校で掌握してます」
ではなぜ、いじめを把握していながら「重大事態」として対応しなかったのか。
中学校の元校長
「それは本人がどういうふうに捉えていたかっていうところが、
学校としては聞けなかったっていうこと」
一方、再調査委員会が新たに認めたクラス内でのいじめについても否定しました。
(元校長)
「クラス内のいじめはなかった。母親からいじめの相談もなかった。
再調査委員会の報告書について言えば、
問題になってる文春オンラインの“捏造記事”と全く同じ内容です。でたらめです」
———
また、3月24日のHTB北海道ニュースは、以下のように元校長へのインタビューを放映しています。
———
(元校長)
「いじめと思われるっていうか、
そういう人間関係のトラブルや問題が発生しているから、
指導しているわけですよ」
(Q:内部ではちゃんといじめの疑いをもって認識して対応したというご主張?)
「相当やりましたよ、そういったことで」。
また、再調査委員会は、「いじめは自殺の主要な原因であった可能性が高い」と結論づけましたが…
(元校長)
「いじめで亡くなったという所が最も違うところですね。
ありもしないクラス内のいじめなんかを認定しちゃってるわけですから」。
報告書では、被害者が同級生から「あたおか」という、
頭がおかしいことを意味する悪口を言われていたことなどが指摘されています。
(元校長)
「6月にいじめアンケート調査ってあるんですよ。
そこに本人爽彩さんは嫌な思いをしていないって書いていますし、
クラス内の生徒もそういうのを見たことはないって書いています」。
再調査委員会の報告書が公表されてから半年。
なぜ今、当時について公の場で話すことにしたのでしょうか。
(元校長)
「市教委に対して真相を明らかにしてほしいということを何度も訴えてきたんですけれども、
ことごとく無視されてきたものですから、これはもう自分でやるしかないなと。
被害者の無念や中学校関係の先生方、生徒、保護者の名誉が回復されない、そういう思いです」。
———
「いじめ」を「人間関係のトラブル」と言い換えるのは、隠蔽型教師の特徴です。
「いじめではない」と主張し、いじめと認めない姿勢を貫いています。
「学校は適切に対応した」とは、具体的にどのような対応だったのでしょうか。
確かに「謝罪の会」を行ったという報道はあります。
あくまでも「対応した」というアリバイづくりを行ったようにしか見えません。
二度に渡る調査委員会の調べでは、「学校が適切な指導を怠った」と指摘されているにも関わらず、
「事実誤認」の根拠を示すことなく、
「学校は適切に指導した」と述べるには無理があります。
HTB北海道ニュースでは、インターネット上に残された被害者本人の声も放送されています。
(https://www.youtube.com/watch?v=tahas5n6DHA)
インターネット上には、悩みを打ち明ける被害者爽彩さんの声が残っています。
「先輩にいろんなものをおごったり、変態チックなことをやらされた。
学校側もいじめを隠蔽しようとしていて」
被害者がわざわざ嘘をつく必要などありません。
自分自身の正直な気持ちでしょうし、
学校に相談した結果、「隠蔽しようとしている」と感じたことは間違いないでしょう。
元校長の頭の中では、「事実誤認だ」なのでしょうが、
この被害者へのいじめは、いじめと言えるいじめではなく、明らかに「犯罪」です。
生徒が亡くなっているということに対して、謝罪もなく、自己の正当性を訴え続ける姿勢には
まったく共感も覚えませんし、賛同もできません。
「自分が被害者だ」と訴えたことに、恥ずかしさを覚えないのでしょうか。
「責任の自覚」を持たない卑怯者だとしか見えないのです。
日本人の魂の中に息づく「武士道」はどこに消えてしまったのでしょうか。
いじめ相談を受けていても、「証拠がなければ、いじめは認められない」と
主張する加害者の保護者も多くなりました。
西洋的には「騎士道精神」とも呼ばれる、「武士道」に代表される高度なモラルは、
いつの時代も忘れてはならないと思います。
文化の秋、スポーツの秋がやってきました。
様々な子供たちの関わり合いが増える時期は、いじめも増える可能性があります。
何か気になることが起きましたら、早めにご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明